月5話 仮装パレード

昨日遅くまで衣装の制作を手伝ってくれたデネブさんのおかげで、無事に私の衣装は出来上がった。

そして今日は、夜のパレードの時間前にロビーで待ち合わせている。

(皆、結構本格的……)

ロビーはすでに、特殊メイクや小物飾りをつけ、思い思いの仮装に身を包んだ人達で溢れている。

まぶしいくらい明るくきらびやかなはずのロビーが、悪霊達の集会のようで、なんだかおどろおどろしい。

(まさか本物が混じってるってことないよね)

ふと、心細く不安な気持ちになって、デネブさんの姿を探すと……

デネブ「○○ちゃん、こっちこっち」

振り返ると、デネブさんがすっかり堕天使になりきったように手を振っている。

夜の雰囲気のせいか、昼より大人びて見えるデネブさんの様子に、大きく息をついた。

デネブ「どうしたの? ため息?」

○○「い、いえ。ちょっと安心して……」

(それに……デネブさんの整った顔立ちが際立つから……ドキドキする)

デネブ「ふーん。じゃ、早速出かけよう!」

安心させるような笑顔を向けられ、頬が綻ぶ。

デネブ「……」

○○「デネブさん?」

デネブ「ううん……正直、衣装はあまり派手にならなかったかなって思ってたんだけど」

○○「あ……私の、衣装ですか? ごめんなさい、せっかく…-」

デネブ「ううん」

言いかけた言葉を、デネブさんが遮る。

デネブ「○○ちゃんらしいや。さいっこーに可愛いよ」

デネブさんが、少し照れくさそうに笑う。

その笑みに、私の胸がトクンと音を立てた…-。

 

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