昨日遅くまで衣装の制作を手伝ってくれたデネブさんのおかげで、無事に私の衣装は出来上がった。
そして今日は、夜のパレードの時間前にロビーで待ち合わせている。
(皆、結構本格的……)
ロビーはすでに、特殊メイクや小物飾りをつけ、思い思いの仮装に身を包んだ人達で溢れている。
まぶしいくらい明るくきらびやかなはずのロビーが、悪霊達の集会のようで、なんだかおどろおどろしい。
(まさか本物が混じってるってことないよね)
ふと、心細く不安な気持ちになって、デネブさんの姿を探すと……
デネブ「○○ちゃん、こっちこっち」
振り返ると、デネブさんがすっかり堕天使になりきったように手を振っている。
夜の雰囲気のせいか、昼より大人びて見えるデネブさんの様子に、大きく息をついた。
デネブ「どうしたの? ため息?」
○○「い、いえ。ちょっと安心して……」
(それに……デネブさんの整った顔立ちが際立つから……ドキドキする)
デネブ「ふーん。じゃ、早速出かけよう!」
安心させるような笑顔を向けられ、頬が綻ぶ。
デネブ「……」
○○「デネブさん?」
デネブ「ううん……正直、衣装はあまり派手にならなかったかなって思ってたんだけど」
○○「あ……私の、衣装ですか? ごめんなさい、せっかく…-」
デネブ「ううん」
言いかけた言葉を、デネブさんが遮る。
デネブ「○○ちゃんらしいや。さいっこーに可愛いよ」
デネブさんが、少し照れくさそうに笑う。
その笑みに、私の胸がトクンと音を立てた…-。