カフェでの作戦会議で、私の衣装はかぼちゃと魔女をイメージしたものに決まった。
店を出るとすっかり日が落ち、オレンジの光が祭りに浮かれる町を染め上げている。
デネブ「大変! もうすぐ日が暮れるよ。お店が閉まっちゃう!」
○○「え!?」
突然、裾を翻して走り出すデネブさんを、私は慌てて追いかける。
向かった先は…-。
○○「わぁ……」
店内には、色とりどりのアクセサリーパーツから、大小様々な羽飾りまで置いてある。
どれも手に取って、ずっと眺めていたくなるほど、細工が素晴らしく繊細だ。
○○「こんなお店があるんですね」
胸が弾み、思わず声も高くなる。
(一日中いても飽きなさそう)
デネブ「ふーん。やっぱり、この時期のロトリアは特別品揃えがいいね」
店内をざっと見回した後、満足げにデネブさんは微笑んだ。
デネブ「気に入った?」
○○「雰囲気がありますね」
私の言葉に、デネブさんが嬉しそうに頬を綻ばせた。
デネブ「でしょ? ここの品揃えは独特なものが多いんだ。人と一緒じゃつまんないからね」
○○「詳しいんですね」
デネブ「リサーチ済みだよ」
○○「こんなにあったら、何にだってなれちゃいますね」
デネブ「その通り! わかってるね。 僕達は何にだってなれるんだよ! それがコスプレの醍醐味なんだから」
そう力をこめて言うデネブさんの瞳は、店内に飾られているどんな宝石よりも煌めいている。
○○「あんまり考えたことなかったけど……仮装とかコスプレって、楽しそうです」
デネブ「そうだよ! 今回は二人でとことん、楽しもうね。 そうだ! ○○ちゃんも、これをきっかけにコスプレを本格的に始めたら?」
○○「深入りしちゃいそうで怖いです」
デネブ「それがいいんじゃない? 僕がどこまでもエスコートしてあげるよ。 じゃ、早速買い物をしよ。素材が僕達を呼んでるよ」
○○「はい。アドバイス、お願いします」
デネブ「もっちろ~ん。じっくり選ぶよ~」
その後、私達はコスプレに必要な材料を、たっぷりと買いこんでいく。
デネブ「ほら、このリボンなんて衣装につけるといいと思うな~」
○○「素敵ですね。濃い色なのに、品があって」
デネブ「よし、これも取り入れよう! ふふっ、○○ちゃんとの買い物、楽しいな。」
○○「は、はい。私も……楽しいです」
嬉しそうな笑みを浮かべるデネブさんに、頬が火照る感じがした。
デネブ「ふふっ。楽しさも、おそろいってわけだね」
その後も飾りを選ぶ合間、濃い夕焼け色のデネブさんの瞳と、ときどき視線が合う。
(微笑み返せばいいのに、なんだか恥ずかしくて視線をそらしちゃう……)
心弾む買い物の時間は、あっという間に過ぎていった…-。