第2話 作戦会議ティータイム

デネブ「ねえねえ、○○ちゃんも、せっかくだからコスプレしようよ!」

○○「コスプレですか!?」

突然の誘いに戸惑いながら聞き返すと、デネブさんは平然とした様子で頷いた。

デネブ「収穫祭は仮装して参加! つまりコスプレだよ、コスプレ! 僕、コスプレ大好きなんだよね~。 今日は堕天使ってテーマだったけど……僕なりのアレンジ、どうかな?」

デネブさんが少し腰を揺らすと、衣装がふわりと舞った。

蝶の羽のように翻った裾が美しくて、目で追ってしまう。

デネブ「ね? 君も一緒にどう?」

見とれていた私の顔を、彼の邪気の無い笑顔が覗き込んだ。

○○「でも……私で怖くできるかな?」

デネブ「そこがボクの腕の見せどころじゃない? ちゃんと好み通りに作る手伝いをしちゃうよ」

○○「そうですね。デネブさんと一緒ならいいかも」

デネブ「じゃ、決まり~。早速、作戦会議しちゃおー」

○○「あ、デネブさん…-!」

上機嫌のデネブさんに手をぐいぐいと引かれ、とあるカフェへと連れていかれた…-。

私達は甘い匂いの漂う店内に入り、栗やかぼちゃを使った収穫祭特別メニューを選んだ。

デネブ「作戦会議開始ね!」

オーダーをすませると、デネブさんが白磁のようにすべらかな顔を、身を乗り出して近づけてくる。

とくんと鼓動がひとつ大きく鳴った。

デネブ「どんなテーマにしよっか?」

○○「テーマ……」

デネブ「う~ん、僕と合わせて、黒い羽根のドレスなんてどう?」

聞いているだけで楽しくなるくらい弾んだ声で、そう提案される。

○○「デネブさんの国は白鳥がたくさんいたのに、白い羽の天使じゃないんですね」

デネブ「黒い羽の方が、かっこよくない? だから、堕天使」

○○「堕天使……」

自分のその姿を想像してみるけれど、あまりイメージが湧いてこない。

(私には……もっと普通の感じの方がいいかなあ)

デネブ「……ふふっ」

デネブさんは、そんな私の考えを見透かしたように笑っている。

デネブ「○○ちゃんは……そうだね、かぼちゃと魔女をイメージしたやつなんかどう?」

○○「かぼちゃと……魔女?」

デネブ「うん!」

(どんなのになるんだろう)

首を傾げていると…-。

デネブ「大丈夫。僕が君に似合うように作るから、全然へーき。じゃ、決まりね」

デネブさんは満足そうに、にこっと微笑んだ。

まるで黒い羽が散ったような魅惑的な笑みに、どうしようもなく惹きつけられていた…-。

 

<<第1話||第3話>>