一週間ぶりに、モンスターの討伐隊が帰還した後……
彼らの討伐成功を祝うため、城では午後から祝勝会が開かれることになった。
料理や飲み物を並べたテーブルがいくつも用意され、
城の中庭は兵士やその家族で大賑わいとなっている。
(皆、笑ってる……本当に無事で良かった)
微笑ましく思いながら、私は離れた場所にいるカリバーンへ視線を向けた。
(カリバーンの活躍で、負傷者もほとんど出なかったって……やっぱり本当に、強いんだ)
部隊を率いた彼は、多くの人に取り囲まれていて、簡単には近づけそうにない。
(カリバーンと話したいけど、どうしよう……)
そんなふうに思いながら立ち止まっていると…-。
国王「○○姫」
○○「国王様……」
国王「カリバーンに労いの言葉をかけてやってくださらんか。あの子もきっと喜ぶ」
国王様は私の気持ちを察したのか、カリバーンのいる輪の中へと、連れて行ってくれた。
カリバーン「○○、すみません。待たせてしまって……」
すると…-。
兵士1「あれっ、カリバーン様ってば、もう姫様のこと呼び捨てにしてるんですね!」
カリバーン「えっ……ああ、そうだな」
兵士1「噂にはなってましたが、やっぱりお二人ってそういう間柄だったんですね!」
カリバーン「ちょっと待て。噂とは?」
兵士2「お二人のことは、城中の噂になってますよ!」
カリバーン「皆、何か勘違いをしているんじゃ……」
兵士1「隠すなんて水くさいですよ、カリバーン様」
兵士2「そうですよ。それにこんな美人な姫様なら、俺らも大歓迎ですよ!」
祝勝会のお祭りムードのせいか、周りにいた若い兵士さん達が、嬉しそうにからかってくる。
カリバーン「参ったな……」
私とカリバーンは一瞬目を合わせたあと、互いに気恥ずかしくて、視線を逸らしてしまった。
(これじゃあ、カリバーンと話せそうにないな……)
若い兵士さん達が飲み物を取りに席を外したと思えば、今度は貴族達がカリバーンを取り囲む。
貴族の男1「カリバーン様、此度の討伐について是非詳しい話をお聞かせください」
貴族の男2「記録をしたためて、今後の参考に致したいのです」
カリバーン「ああ……今回討伐したのは、大きさ的には中規模のモンスターで……」
カリバーンが私を気にして、問いかけるような視線を寄越す。
(今は……邪魔をしてはいけないかな)
私は微笑みながら頷き返し、そっとその場を離れることにしたのだったけれど……
さっきの兵士さんの言葉を思い出すと、頬がまた熱くなっていくのだった…-。