第2話 凛々しい振る舞い

アヴァロンの王子であるカリバーンさんは騎兵隊を引き連れ、私を城下町まで迎えに来てくれた。

しばらくして城門へ辿りつくと、カリバーンさんは先に馬を降りた。

カリバーン「さあ、姫」

乗るとき同様、私に向かい手を差し伸べてくれた。

カリバーン「怖くはありませんでしたか? 少し緊張されていたようですが」

隣に降り立った私のことを見つめ、気遣わしげな視線を向ける。

○○「町の人達に注目されているのが、なんだか恥ずかしくて」

カリバーン「そうでしたか……」

カリバーンさんは意外そうな顔をしてから、ふっと優しい笑みをこぼした。

カリバーン「貴女のような姫に会うのは初めてです」

頬を熱くしながら、カリバーンさんの馬に視線を向けた。

○○「……大きな馬ですね。それに真っ黒な瞳がとても綺麗」

カリバーン「○○姫に褒められて、こいつも喜んでいます」

漆黒の毛を撫でながら、カリバーンさんが優しいまなざしを馬に向ける。

カリバーン「そろそろ城の中へ入りましょう」

○○「はい」

カリバーンさんに続き、荘厳な造りの城門をくぐる。

謁見の間には国王をはじめ、宰相や重鎮達がずらりとそろっていた。

どの人も鍛え抜かれた体躯をしていて、その迫力に圧倒されるほどだった。

国王「このたびは、よく来てくれた。トロイメアの姫よ、息子カリバーンを救ってくれた礼を言う」

○○「いえ……お招きいただき、ありがとうございます」

国王「我が国には、危険なモンスターが多く存在する。 だが、この城や町の中は衛兵が守っているので、安心して過ごして欲しい」

カリバーン「ええ。今度は決して……ユメクイにも後れをとらぬつもりです」

実直な瞳をしたカリバーンさんが、私に頷きかける。

吸い込まれそうなぐらい凛々しく誠実な彼の眼差しに、思わず見惚れてしまっていると……

カリバーン「○○姫、俺の顔に何か?」

○○「いえ……! なんでもないです」

カリバーン「そうですか? では部屋へご案内致しますので、こちらへ」

流麗な所作で、カリバーンさんが私を促す。

(本当に、振る舞いの一つ一つがとても凛々しくて、なんだか緊張する……)

カリバーンさんに続いて謁見の間を後にするとき、侍従の方達の囁くような会話が聞こえてきた。

侍女「お似合いのお二人ですね」

侍従「ああ。カリバーン様もそろそろ……」

(え……)

カリバーンさんの厳かな振る舞いに見惚れていたせいか、そんな会話を聞いてしまったせいか……

妙に彼を意識してしまい、また胸の鼓動が速くなっていた…-。

 

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