少し不気味なロトリアの街に、夜の訪れを告げる金が鳴り響く…-。
(そろそろ待ち合わせの時間)
(結局どんな格好にしたのかな?とりあえず行ってみよう)
…
……
私は彼との待ち合わせ先に向かってみたけれど…-。
○○「あれ……?」
さきほどまで仮装した人々で賑わっていたはずの街は、なぜかひっそりと静まり返ってしまっていた。
暗い収穫祭の街並みをランタンのほのかな灯りだけが照らしている。
(嫌だな……どうして? 皆どこに行ったのかな?)
ひやりとした風が吹き抜け、私は背を震わせた。
(ひとまず、アルタイルさんを探さないと)
誰もいない街並みを、彼の姿を探して一人歩く。
そのうちに、これまで見たこともない場所へ私は迷い込んでしまっていた。
(ここは、墓地? おかしいな、道を間違えた?)
(さっきまでこっちの方はお城に続く道があったはずなのに……)
背の薄ら寒くなるようなカラスの鳴き声が、薄気味悪い墓地に響く。
(どうしよう……怖い)
戸惑いに、歩を進める足が鈍くなる……
どこからか狼の遠吠えが響いてきて、徐々に霧が立ち込め始めた。
(視界まで悪くなってきた……早く、街に戻らないと……)
その時だった。
(え? 今、何か変な物音がしたような――)
○○「……っ!?」
その瞬間、私は叫び出しそうになった。
不気味な唸り声が足元から聞こえたかと思うと、あの世から這い出すように、地面から青白い手が現れて…-。
??「ああぁぁぁ……うっぅぅぅあぁぁぁ……」
(う、嘘!?)
私はすぐさま、その場から走り出した。
頭の中が、混乱と恐怖で支配されていく。
(今のは何!? 収穫祭の仮装?それとも本物の……)
(……嫌だ、怖い!!)
しかし逃げれば逃げるほど、墓地の深みに迷い込み…-。
気づけば、不気味な人影に囲まれていた。
??「喰わせろ……寄こせ……」
○○「……っ!!」
次々と墓穴から這い出す死霊達。
そして得体の知れない生き物の数々…-。
(た、助けて! アルタイルさん……!!)
その時、墓石の合間に、見知った背丈の人影を見つけた。
○○「!! アルタイルさ――」
アルタイルらしき影「……お前は……○○……」
○○「……っ!」
アルタイルらしき影「……うぅぁあぁ、寄こせぇ……オマエの……生気を寄こせぇ……肉をぉぉ……寄こせぇぇぇ……」
思わず口元を押さえる。
○○「う、嘘……こんなの……アルタイルさんじゃ……ない……」
彼の姿を借りたモンスターは、体を戒める鎖を引き千切って、恐ろしい笑みを浮かべた。
アルタイルらしき影「……お前も……死者の世界に連れ去ってやろう……」
○○「い……嫌っ!!」
地を這うような声に本能的な恐怖を感じて、私は全速力でその場から逃げ出したのだった…-。