突如始まった、再びの街の大改造…-。
恐ろしかった街のセットは、子どもでも楽しめるようなカラフルなものへ。
セットの変更は、祭りの開始となる仮装パレードのスタートぎりぎりまで続いた…-。
…
……
そしてやがて太陽は完全に落ち、お祭りの夜がやってきた。
人々は思い思いの仮装で、パレードの行われる広場へ続々と集まってくる。
パレードの参加者1「わあ、すごいわ! なんて賑やかな飾りつけなのかしら」
パレードの参加者2「本当だな、まさに収穫祭って感じで、最高に楽しそうだ!」
様々な色をしたカラフルなカボチャに、街の屋根を染める様々な色。
派手な電飾の飾り付けや、ランタンの幻想的な光に、人々は夢中のようだ。
○○「よかったですね、好評みたいですよ?」
アルタイル「ああ、街を行く人が皆、笑っている……素晴らしいことだ」
一仕事終えて、彼が満足そうな顔で笑顔の人々を眺める。
○○「それに、今のアルタイルさんの格好も、すごく素敵です」
アルタイル「そうか……? 街の雰囲気に合わせてもっと楽しげにしてみたんだが」
○○「はい、こうして傍にいるだけで私も楽しくなっちゃいます」
その時、大音響の音楽と共にパレードが始まった。
○○「すごい……!」
光と音の洪水の中で、仮装した人々がダンスを踊り出す。
誰もが心からの笑顔を浮かべて、本当に楽しそうだ。
○○「あ、あの子は……!」
人混みの中に、さきほどの子どもの姿を見かける。
友達に交ざって、男の子は元気いっぱいにはしゃいでいる。
アルタイル「どうやら楽しんでくれたようだな、彼との約束は守られたようだ」
○○「はい……!」
ほっとしたのか、息を軽く吐き出したアルタイルさんの横に寄り添う。
その時…-。
○○「あ……!」
見上げた藍色の空に、大きな花火が上がった。
遅れて、人々の歓声がパレードの列に広がっていく。
(綺麗……)
美しい花火に見入っていると、不意に体が背後から暖かなものに包まれた。
○○「え……アルタイルさん?」
振り向けば、すぐ傍で微笑む彼の顔がある。
きらびやかな明かりに照らされたその表情に、とくん……と心臓が高鳴った。
(どうしよう……)
(見てるとこっちまで幸せになれそうな、素敵な笑顔……)
アルタイル「○○……やはりお前が一緒でよかった。 きっと俺一人では、こんなに多くの人を笑顔にはできなかっただろう。 この胸がこんなにも弾んでいるのは、隣にお前がいてくれるからだな」
○○「そんな……」
(私の方こそ、なんだか胸がはちきれそう……)
囁かれた声は甘く、そして私を抱きしめる腕は暖かい……
まるで幸せそのものに包まれているような心地になる。
(収穫祭って……こんなに楽しいものなんだ)
(アルタイルさんと一緒だから……?)
意識すると急に頬が熱くなった気がして、うつむきがちに目を伏せる。
アルタイル「○○、もっと俺に、お前の顔を見せてくれないか? 伝えただろう? 俺は○○の喜ぶ顔が見られれば、満足なんだ」
○○「はい……」
うつむいた顔を上げれば、彼の大きな手のひらが私の頬をすべる。
(暖かい手……それにやっぱり優しい……)
人々が浮かれる中で、彼の体温に包まれてそっと肩に顔を預ける。
アルタイル「せっかくの収穫祭だ、俺達も最後まで楽しもうじゃないか」
○○「はい……アルタイルさん」
(このままずっと、パレードが終わっても一緒にいられたらいいな)
人々の賑わいとともに、仮装行列は収穫祭の夜を練り歩く。
私は彼の温もりを感じながら、夜を彩るパレードを最後まで楽しんだのだった…-。
おわり。