私は、小悪魔に仮装したロルフ君と、ダンスパーティへとやってきていた。
ロルフ「いつものパーティとは全然違う……」
ロルフ君がそうつぶやきながら、周囲を見回す。
仮装した人達が舞い踊る町中は、不思議な雰囲気に包まれていた。
○○「ロルフ君、大丈夫? 怖くない?」
ロルフ「うん……○○ちゃんが、いてくれるから……」
微笑んだロルフ君は、私の手をそっと取って小首を傾げた。
ロルフ「あの……ボクと一緒に踊ってくれますか……?」
頬を赤らめて照れながらも、ダンスに誘ってくれる。
いつもより積極的なロルフ君を前にして、私は少しドキドキした。
(積極的なのはもしかして、悪魔の仮装の効果なのかな?)
そんなことを思いつつ、ロルフ君の手を握り返す。
○○「喜んで」
ロルフ君のエスコートで中央へと向かうと、ちょうど新しい曲が始まった。
(ワルツ……)
優雅な曲に合わせて、思い思いに仮装した人々が踊る。
ゾンビや魔女、お化け達が舞い踊る異様な光景が私の胸を高揚させた。
ロルフ「……楽しい……ですね」
○○「うん!」
目が合うたび照れ笑いを交わしながら、私達は特別な夜を心から楽しんだ…-。
それからしばらくダンスを楽しみ、少し息の上がったところで、壁際に下がったとき…-。
国王「二人とも、楽しんでいるかな」
ロルフ「お父さま……」
○○「国王様。お招きいただき、ありがとうございます」
国王「ゆっくり滞在していかれよ、姫。ロルフも喜ぶだろう」
国王様はにっこりと笑って私に頷きかけてくれたあと、ロルフ君に向き直った。
国王「ロルフ……その衣装は何だ」
ロルフ「え……?」
国王様の厳しい視線に、ロルフ君がびくりと肩を揺らす。
ロルフ「こ、こ、これは……その……」
国王「……」
(ロルフ君……頑張って!)
ロルフ「あ……悪魔……です」
国王「悪魔? その恰好がか?」
ロルフ「は、はい……お父さまのように……ボク、強くなりたいって……そう思って」
国王「……」
国王様は、しばらくじっとロルフ君を見ていたけれど……
国王「そうか」
ふっと柔らかな笑みを浮かべ、ロルフ君に優しい眼差しを送った。
国王「まさか、お前がそのようなことを言うとはな……。いい心がけだ。嬉しく思うぞ」
ロルフ「はい……!」
国王様に褒められたロルフ君が、嬉しそうに顔を綻ばせる。
(よかったね、ロルフ君)
国王「……しかし」
嬉しそうにぎゅっと槍を握り締めるロルフ君には聞こえないように、国王様が小さくつぶやく。
国王「あれだと、まだまだ威厳というものには程遠いのお。 まあしかし…-」
嬉しそうに笑う国王様のつぶやきは、オーケストラの音楽と人々の喧騒に搔き消されていった…-。