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ジェット『俺、これまでいろんなスタントを経験して、いろんな映画に出たけど……。 遊園地のアトラクションにするなら、この映画が絶対にいいって思ったんだよな』
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ジェットさんの話が、私の胸を熱くする…-。
〇〇「本当に楽しみになってきました」
ジェット「じゃあ、プレオープン最初の運転の乗客はお前だな」
〇〇「え……! いいんですか?」
ジェット「あったりまえだろ!」
そう言いながら、ジェットさんは照れくさそうに軽く頬を掻いた。
ジェット「俺が一番に、先頭に乗るってことになってるからさ。 〇〇とは、俺と一緒に特別に一番乗りだ。どうだ?」
(特別……すごく嬉しい)
〇〇「ありがとうございます! あ、映画もちゃんと見て…-」
その時…-。
〇〇「!」
ちょうど、試運転の誰も乗っていないコースターがものすごい速さで駆け抜けて行くのが見えた。
(すごいスピード……)
〇〇「ちょっと怖そうだけど……第一号として頑張ります」
ジェット「ハイスピードコースターだからな! ま、意気込み充分か。ありがてえ。 よし! じゃあプレオープンまでまだ少しあるから、パーク内でも回ろうぜ」
〇〇「いいんですか?」
ジェット「ああ。せっかくだから、他も見て回りたいだろ? 行くぞ」
〇〇「あ……」
ジェットさんの逞しい腕が、ごく自然に私に差し出される。
(気さくだけど……こういうところは王子様らしいな)
そっと手を腕に通すと、胸の鼓動が速くなってしまうのだった…-。
…
……
ジェット「プレオープンだからな。まだクローズにしてるアトラクションもあるんだ」
二人でパーク内を回りながら、ジェットさんがいろいろと教えてくれる。
〇〇「わぁ……かわいいマスコットも立ってますね!」
ジェット「ああ。ぱんだちゃん……だったっけな。万里のアトラクションに出るって言ってたな。 お前、やっぱあーいうのが好きなのか?」
ジェットさんが、私の顔をうかがうように見てくる。
〇〇「好き……そうですね、かわいいなって思って」
ジェット「ふーん、そうか」
〇〇「ジェットさん?」
ジェット「ちょっと待ってろ」
すっと私から離れ、どこかへ駆け出したかと思えば……
ジェット「待たせたな!」
すぐに、何かを持って戻ってきた。
ジェット「ほら、ぱんだちゃん? の焼き印が入ったアイス最中」
〇〇「わ……かわいい。それにおいしそう! ありがとうございます、ジェットさん!」
あまりにも愛らしいぱんだちゃんの印に、大きな声で反応してしまうと……
ジェット「……!」
ジェットさんはほんのりと頬を染め、口元に手をあてていた。
ジェット「……そういう顔すんの、反則だろ……」
〇〇「え?」
ぼそりとつぶやかれた言葉が聞き取れなくて、聞き返すと……
ジェット「や……その、かわいい……」
ジェットさんの頬が、ますます赤くなってしまった。
〇〇「あの…-」
ジェット「っ、なっ、なんでもねーよ! 次だ! 次行くぞ!」
〇〇「あっ……はい!」
少しだけ乱暴に、私の手が引かれる。
(ジェットさん……?)
触れ合ったところが、なぜだかとても熱いと感じた…-。
…
……
次に、私達がやって来た場所は……
〇〇「テーマパークの中にこんなアトラクションもあるんですね」
パーク内でそこだけ緑に囲まれた、立派なフィールドアスレチックが目の前に広がっている。
ジェット「だよな。俺も、すげーいいって思ってさ」
〇〇「それに、ジェットさんが好きそうです」
ジェット「……だな!」
ジェットさんが、ニッと快活な笑みを浮かべる。
ジェット「じゃあ、一足先に挑戦させてもらうか!」
〇〇「え…-」
…
……
そして…-。
ジェット「やっぱ、体動かすと気持ちいいな!」
複雑な造りのアスレチックを、ジェットさんはいとも簡単によじ登っていく。
〇〇「き、気をつけてくださいね」
あまりにも速いスピードで進むジェットさんが心配で、胸がドキドキしてしまう。
ジェット「俺を誰だと思ってんだよ」
逞しい腕を器用に動かし、ひょいと、低い位置まで下りてくると……
ジェット「ほら、お前も来いよ」
〇〇「え…―」
ジェット「その服装でも、ここらまでだったら大丈夫だろ」
〇〇「……っ」
差し出された手を取ると、ジェットさんの逞しい腕にしっかりと体を支えられた。
(ジェットさん、やっぱりすごいな)
その力強さを感じて、いろんな意味でドキドキしてしまう。
〇〇「あ、ありがとうございます」
頬が火照るのを感じながら、小さな声でお礼を言うと……
ジェット「おう、転ぶなよ」
明るい声が耳元をくすぐった。
(この体で、危険なスタントをいくつもこなしてきたんだ……)
ところどころに傷がある鍛えられた体全部が、彼の誇りであるように思えた…-。