映画の国・ケナル 彩の月…-。
目の前にそびえたつ巨大テーマパークの前で、私は受け取った招待状を握りしめる。
(なんて大きなテーマパーク……)
招待状は、映画の国の連合組織であるビオスコープからのもので、新しいテーマパーク『ビートン・フィルムパーク』プレオープンへの誘いだった。
エントランス付近には、すでにプレオープンを待ちきれない招待客で賑わっている。
(プレオープンに向けて、最終調整中って聞いていたけど)
豪壮な作りのエントランスを見上げていると…-。
??「〇〇! 来てくれたんだな!」
明るくよく通る声が聞こえ、振り返る。
〇〇「ジェットさん!」
颯爽と駆けてくるジェットさんの姿があった。
ジェット「よっ!」
気さくに挨拶をしてくれるジェットさんは、映画の国・ボディブルの王子様……
王族も映画関係の職に就いている人が多い映画の国で、スタント専門で頑張っている人だった。
〇〇「招待してくださってありがとうございます」
ジェット「おう! 迷わず来られたか?」
〇〇「はい、大丈夫です」
ジェット「そっか、よかった。それにしても久しぶりだよな」
そう言いながら、ジェットさんが、ごそごそと何かを取り出す。
ジェット「これ、今回のビートン・フィルムパークのパンフレット」
手渡されたパンフレットはとても丁寧でわかりやすく内容で、楽しそうなテーマパークに、思わず引き込まれてしまう。
〇〇「面白そうなアトラクションがたくさんありますね。 特にこのローラーコースターが、すごく楽しそうです」
ジェット「本当か!?」
〇〇「え……?」
ジェットさんの瞳が嬉しそうに煌めき、声がひときわ大きくなった。
ジェット「それ、俺がスタントで出演した映画のアトラクションなんだ。 目が高いな! 嬉しいぜ」
歯を見せて笑うジェットさんに、明るい日差しが降り注いでいた…-。