第1話 プリンセスの隣に

武器の国・アヴァロン 薫の月…-。

巨大な動植物が繁栄を極める不思議な大陸、モンスティート…-。

鬱蒼と生い茂るシダ植物の密林を超えて、城壁に囲まれたアヴァロンの町へとやって来ていた。

兵士「〇〇姫、こちらが城下町となります」

護衛の方が、にこやかに私に話しかけてくれる。

兵士「競技会はもう間もなく始まります。会場へご案内させていただきます」

〇〇「はい、ありがとうございます」

私は、とある競技会に来賓客として招待されていた。

熱狂に包まれる会場を貴賓席から望むも、闘技場はかなり遠い。

(駄目だ、ここからじゃ全然見えない)

(やっぱり、本当に危ないからかな?)

その時…-。

??「プリンセスも招待されていたのですね」

穏やかな声に、後ろを振り向けば…-。

〇〇「……ジークさん!」

ジーク「お久しぶりです」

そこには、宝石の国・メジスティアの王子……ジークさんの姿があった。

〇〇「ジークさんも、来てらっしゃったんですね!」

知った顔を見つけて、安堵に自然と口元が綻ぶ。

すると…-。

ジーク「そ、そんなに無防備な表情をされると、あなたのことを誰にも見せたくなくなってしまいそうです」

〇〇「そんな……」

ジーク「すみません。ですがきっと、お一人の公務で心細かったのでしょう? よろしければ、プリンセスのお隣にいさせてください」

〇〇「はい、どうぞ」

私は立ち上がって、彼に隣の席を勧める。

獣の咆哮が響く中、遠く土煙の上がる闘技場を眺める。

〇〇「本当に大きな闘技場なんですね」

ジーク「はい、このアヴァロン国をはじめとしたモンスティート一帯には……。 他の国では見られない巨大なモンスターが数多く生息しています。 ですからこうして捕獲されたモンスターを使って、競技会が行われるのです」

ジークさんは席に着くなり、私に競技大会の成り立ちを話し始めてくれた。

(ジークさん……なんだか、楽しそう)

少し興奮気味のジークさんを見て、私の胸もドキドキと、期待に音を立て始めていた…-。

 

第2話>>