武器の国・アヴァロン 薫の月…-。
巨大な動植物が繁栄を極める不思議な大陸、モンスティート…-。
鬱蒼と生い茂るシダ植物の密林を超えて、城壁に囲まれたアヴァロンの町へとやって来ていた。
兵士「〇〇姫、こちらが城下町となります」
護衛の方が、にこやかに私に話しかけてくれる。
兵士「競技会はもう間もなく始まります。会場へご案内させていただきます」
〇〇「はい、ありがとうございます」
私は、とある競技会に来賓客として招待されていた。
熱狂に包まれる会場を貴賓席から望むも、闘技場はかなり遠い。
(駄目だ、ここからじゃ全然見えない)
(やっぱり、本当に危ないからかな?)
その時…-。
??「プリンセスも招待されていたのですね」
穏やかな声に、後ろを振り向けば…-。
〇〇「……ジークさん!」
ジーク「お久しぶりです」
そこには、宝石の国・メジスティアの王子……ジークさんの姿があった。
〇〇「ジークさんも、来てらっしゃったんですね!」
知った顔を見つけて、安堵に自然と口元が綻ぶ。
すると…-。
ジーク「そ、そんなに無防備な表情をされると、あなたのことを誰にも見せたくなくなってしまいそうです」
〇〇「そんな……」
ジーク「すみません。ですがきっと、お一人の公務で心細かったのでしょう? よろしければ、プリンセスのお隣にいさせてください」
〇〇「はい、どうぞ」
私は立ち上がって、彼に隣の席を勧める。
獣の咆哮が響く中、遠く土煙の上がる闘技場を眺める。
〇〇「本当に大きな闘技場なんですね」
ジーク「はい、このアヴァロン国をはじめとしたモンスティート一帯には……。 他の国では見られない巨大なモンスターが数多く生息しています。 ですからこうして捕獲されたモンスターを使って、競技会が行われるのです」
ジークさんは席に着くなり、私に競技大会の成り立ちを話し始めてくれた。
(ジークさん……なんだか、楽しそう)
少し興奮気味のジークさんを見て、私の胸もドキドキと、期待に音を立て始めていた…-。