収穫祭イベント当日、ロルフ君が仮装に選んだのは、彼らしい魔女の衣装だった…-。
準備を整えた私達は、さっそく城下町へと遊びに来てみた。
お化けカボチャをはじめとする収穫祭の装飾が施された町を、仮装した人々が行き交う。
ロルフ「わぁ……人がいっぱいです……」
○○「うん、すごいね」
恐ろしい恰好をしながらも、皆笑顔を浮かべ、はしゃいでいる。
まるでお化け達のパーティという雰囲気で、私の胸も弾み出した。
ロルフ「これならボクも、怖くないです……」
○○「怖いっていうより、楽しい感じだよね」
ロルフ君と並んで立ち止まり、周囲を見回していると…-。
ピエロ「ハッピー収穫祭!」
ピエロに扮したおじさんが、お菓子の入った袋を差し出してくれる。
ロルフ「ロリポップにチョコレート……!嬉しいです……」
○○「ありがとうございます」
ピエロ「どういたしまして。楽しい一日を!」
その後も、道すがら出会った大人たちが、次々とお菓子をプレゼントしてくれて…-。
あっという間に私達の両手は、もらったお菓子でいっぱいになった。
ロルフ「お菓子がこんなにたくさん……」
幸せそうな顔で満面の笑みを浮かべながら、ロルフ君が私のことを見上げる。
そこで初めて、私はあることに気づいた。
(前に会ったときより、ロルフ君の視線が近い……?)
私より背が低いのは変わらないけれど、ロルフ君は以前より、ほんの少し身長が伸びたみたいだ。
ロルフ「○○ちゃん……? どうしたの……?」
○○「あ、うん、ロルフ君の背が…-」
町の人「ハッピー収穫祭! かわいい女の子達には、お菓子をオマケだよ!」
ニコニコと声をかけてきたおばさんが、私達の抱えたお菓子のてっぺんに新しい包みを置いていく。
ロルフ「……女の子達……」
○○「え……?」
ロルフ「ボク……女の子と間違えられちゃったみたいです…。 ボク……男の子なのに」
先ほどまでの笑顔は消え失せ、ロルフ君がしょんぼりと肩を落とす。
○○「ロ、ロルフ君が可愛いってことで、悪い意味じゃないと思うよ」
ロルフ「……そうでしょうか……」
それからしばらく時間を過ごした後、お菓子がいっぱいになってしまった私達は、城へ戻ることにしたのだけれど……
ロルフ君は帰り道も、まだ少し落ち込んでいるようだった…-。