オズワルド王子から依頼されたエッグレースのため、作戦会議を行った私達は……
ゴーシュくんの執事さん達と一緒に街の広場へとやってきた。
ゴーシュ「会場はここで決定だね」
子ども達が楽しそうに遊び回る広場を見ながら、ゴーシュくんが満足げに微笑む。
○○「この広場に、コースを作るの?」
ゴーシュ「うん。コースっていっても、ロープを引いたりして作る簡易的なもの。 その方が応援席とコースが近くなるからね。そうしたら、皆が一体化して盛り上がれるでしょ?」
執事「良い案でございます。優勝者への賞品はいかがいたしましょうか?」
ゴーシュ「うーん、そうだな……」
執事さんの言葉に、ゴーシュくんは目を閉じて考え込む。
ゴーシュ「何かあった方がいいんだろうけど……」
そんなゴーシュくんに、私は……
○○「えっと……ゴーシュくんの好きなものでいいんじゃないかな?」
ゴーシュ「おれの……?」
ゴーシュくんは私の顔を見た後、再び目を閉じて考え始める。
その時だった。
男の子1「ゴーシュさまー!!」
女の子1「ゴーシュさま!」
数人の子ども達が、こちらへ駆け寄ってきた。
ゴーシュ「ん?どうしたの?」
男の子2「今度の感謝祭で、エッグレースするって聞いたよ!」
女の子2「すっごく楽しみ! もちろんゴーシュさまも参加するんでしょ?」
ゴーシュ「え……」
周りを取り囲む子ども達に、ゴーシュくんが言葉を詰まらせる。
けれど……
ゴーシュ「そっか。おれが参加することは、考えてなかったな……。…………そうだ!」
○○「え……?」
ぱっとゴーシュくんの表情が輝いたかと思えば、彼は私を見てにやりと笑った。
ゴーシュ「優勝者への賞品は、○○からのキスだ……!」
○○「えっ……!?」
(キ、キスって……!)
女の子1「わぁ……キス!?」
男の子1「キスだってー! ひゅー!」
子ども達が、その場できゃっきゃと騒ぎ始める。
○○「あ、あの、ゴーシュくん。それは……」
ゴーシュ「駄目だって言うの? おれも参加して優勝するよ。だからキス、してくれるでしょ?」
ゴーシュくんは、楽しげに笑っているけれど……
(そ、そうは言っても、突然キスだなんて……)
○○「それは、ちょっと恥ずかしいよ……」
ゴーシュ「ふーん。あんた、大人なのに恥ずかしいんだ?」
○○「……!」
鼻で笑うゴーシュくんに、何も言えなくなってしまう。
(私がキスをしたところで賞品にならないような……)
そう思いながらも、自信満々なゴーシュくんを見ていると断れそうにもなく……
半ば諦めかけた私に、ゴーシュくんはそっと顔を近づけた。
ゴーシュ「あんたからのキス、楽しみにしてるから」
○○「っ……!」
まっすぐに私を見つめ、ゴーシュくんが楽しそうに目を細める。
その魅力的な笑顔から、私は視線を逸らすことができなかったのだった…-。