街中で、ゴーシュくんと再会した後…-。
ゴーシュ「エッグレースも知らないなんて、あんたもまだまだだね」
得意げに胸を張る少年らしい様子に、微笑ましい気持ちになる。
○○「教えてくれてありがとう」
ゴーシュ「っ……」
素直にお礼を言うと、ゴーシュくんの頬が赤く染まった。
ゴーシュ「こ、このぐらいでお礼なんか言わなくてもいいよ。 そんなことより……」
少しきまりが悪そうに顔を逸らしていたゴーシュくんが、口を開く。
ゴーシュ「なんでそんな面倒なこと、おれにさせるかな」
○○「面倒なことって……エッグレース?」
ゴーシュ「そう。別に、おれじゃなくてもいいのに」
○○「それはやっぱり……ゴーシュくんが適任だと思ったからじゃない?」
ゴーシュ「おれが?」
ゴーシュくんが、わずかに目を丸くする。
○○「うん。ゴーシュくんは、皆の喜ぶことをたくさん知ってるし……。 きっと素敵なレースを開催してくれるって考えたんじゃないかな」
ゴーシュ「……」
複雑そうな表情を浮かべるゴーシュくんは、少しの後、何かを考え込むような素振りを見せた。
そして……
ゴーシュ「……本当にそう思う?」
(え……)
いつもはあまり見せない不安げな表情に、私の鼓動が小さく跳ねる。
○○「うん。私も、ゴーシュくんが適任だなって思うよ。 だから頑張って」
鼓動を落ち着かせながら、ゴーシュくんを安心させるように笑う。
すると彼は、満面の笑みを浮かべて……
ゴーシュ「まあ、そういうことなら仕方ないかな! 頑張ってあげてもいいよ」
(あ……)
元気を取り戻したゴーシュくんに、嬉しさが込み上げてくる。
○○「私にお手伝いできることがあったら、なんでも言ってね」
ゴーシュ「うん!そうと決まれば、レース場の確保も必要だし……。 当日のルールもしっかり決めないとね。 行くよ!」
○○「えっ……?」
どこに? と思った次の瞬間、パチンと指を弾くゴーシュくんの手に箒が現れた。
ゴーシュ「だから、城に戻って早速作戦会議! もちろん来てくれるでしょ?」
○○「あ……」
ゴーシュくんが私の手を取り、自分の腰に添えさせた次の瞬間……
私達を乗せた箒がふわりと宙に舞い、街の景色がどんどんと遠ざかっていったのだった…-。