それからも私達は、いろいろな本を読み漁った。
ロルフ「○○ちゃん、本を選んでみました……」
高く積み上げた本を両手に抱えながら、ロルフ君が覚束ない足取りで近づいてくる。
○○「すごくたくさん見つけたね」
抱えている本を半分受け取りながら声をかけると、ロルフ君は控えめに微笑んだ。
ロルフ「これぐらい集めれば大丈夫……?」
○○「うん。この中から仮装できそうな登場人物を探してみよう」
本をおろした私達は、壁を背もたれ代わりに床の上へ座ると、しばらく黙ってページをめくった。
ロルフ「あ……○○ちゃん、これ……」
ロルフ君が膝に広げていた本の挿し絵を指さしながら、私に声をかけてくる。
その挿し絵には、悪魔の王様の姿が描かれていて…-。
ロルフ「……お父さまそっくりです」
(た、確かに雰囲気は似ているけれど)
(さすがに頷けない……)
ロルフ「そういえば……」
返事に詰まっている私の隣で、ロルフ君が何かを思いついたように声を上げる。
瞳をキラキラ輝かせながら、別の本のページをめくると……
ロルフ「見て。お母さまはこの魔女にそっくりです……」
挿し絵に描かれていたのは、優しそうな魔女だった。
○○「じゃあロルフ君の仮装は、悪魔か魔女にする?」
ロルフ「はい、そうします」
○○「候補が決まってよかったね」
ロルフ「○○ちゃんのおかげです」
ロルフ君はかわいらしく、小さく頭を下げた。
○○「衣装は魔女を選ぶの?」
ロルフ「お母さまみたいな優しい魔女……うん、着てみたいです……」
○○「ロルフ君の仮装を見るのが楽しみだな」
どんなふうになるんだろうと想像しながら、改めて本の挿し絵を眺める。
すると、隣から眠たげな欠伸が聞こえてきた。
ロルフ「あ、ごめんなさい……安心したら眠くなっちゃって……」
謝りながらも、ロルフ君の目は今にももう閉じてしまいそうだった。
(もしかして、衣装のことで悩んでいたせいで、あまり眠れていなかったのかな?)
ロルフ「少しだけ……」
つぶやくようにそう言うと、私の肩に頭を寄せ、目を閉じてしまった。
(やっぱりまだ小さな男の子って感じでかわいい……)
微笑ましく思いながら、ロルフ君の寝顔を見つめているうち、私にも眠気がやってきて…-。
結局、私とロルフ君は額を寄せ合ったまま、夕方近くまで眠ってしまった…-。