太陽8話 まばゆい光

柔らかな風が頬を撫で、そっと目を開ける。

まばゆい光の中で、誰かが私の手を握っていた。

ビッキー「○○!」

○○「ビッキーさん……?」

(私……?)

(そうだ、ケロタを追いかけて……)

看護師さんのような服を着た人が私の額に手をあて、パタパタと部屋を出ていった。

ビッキー「よかった……! だいぶ水を飲んでたから」

ビッキーさんは額に手をあて、何度も大きく息を吸った。

○○「大丈夫ですか……?」

ビッキー「……大丈夫じゃない。久しぶりに泳いでクタクタだ」

○○「ごめんなさい……助けてくれてありがとうござ…―」

突然ビッキーさんに抱きしめられ、私は言葉を見失ってしまう。

○○「あ、あの……?」

ビッキー「君って人は」

(ビッキーさん……震えてる?)

ビッキー「心臓が、止まるかと思った」

消え入りそうなその声までも震えていて、私はそっと彼の背を撫でる。

彼が私の肩に頭を預け、柔らかな髪が私の頬をくすぐった。

○○「ごめん、なさい」

ビッキー「……どうして、あんなことを?」

○○「それは……」

ー----

ビッキー『まあ、ケロタの方は、離れたくても離れられないだけなんだけどね』

ビッキー『どうせこの呪いがある限り、ケロタは嫌でも僕から離れられないんだから』

ー----

○○「……ビッキーさんが、悲しそうだったから」

ビッキー「僕が?」

○○「はい……だから、ケロタに確かめたくて」

ビッキーさんは顔を上げ、私の顔をまじまじと見つめる。

ビッキー「確かめるって?」

私は大きく息を吸い、彼の瞳をまっすぐに見つめた。

○○「ケロタは、うんざりとかいろいろ言ってたけど。 ケロタに初めて出会った時……ビッキーさんが指輪に封印されてた時……。 ケロタは、ビッキーさんを助けてって、必死に私を呼んでくれたんです。 あの時ケロタは、ビッキーさんの指輪から随分遠く離れた場所まで私を迎えに来てくれた。 本当は、指輪に封印されている間呪いは解けていて、どこにでも行けたんじゃないかな……って」

ビッキー「え……?」

○○「あの時、ケロタはそれでも自分の意思でビッキーさんの傍に戻ったんじゃないかな? だから、私……」

ビッキー「……まさか」

ビッキーさんの瞳が揺れる。

長いまつ毛に縁取られた瞳が、やがてゆっくりと窓の外を向いた。

 

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