のどかな波の音が、私達の沈黙をいっそう際立たせる。
ビッキーさんの胸中を思うと、私はいても立ってもいられない気持ちになった。
(ケロタに聞かなきゃ)
(だって……あんなに楽しそうに笑ってた)
(それに……)
私は決心し、湖に足を踏み入れる。
ビッキー「○○?」
○○「ケロタ、どこ?」
遠浅の湖の水は冷たく、ひるんでしまいそうになる。
けれど必死に顔を上げ、ケロタが飛び込んだほうへ向かった。
ビッキー「○○、戻って。 いいから、君がそんなことをする必要はないんだ。 どうせこの呪いがある限り、ケロタはいやでも僕から離れられないんだから」
ビッキーさんが後ろから追いかけてくる。
○○「よくない……よくないですよ!」
(そんなふうに言わないで)
(ケロタは……!)
○○「あ……!」
振り向こうとすると、私は急に深みにはまってしまう。
ビッキー「○○!」
(大丈夫、泳げる……!)
湖面を目指し手を動かすけれど、水を含んだ服は重く、どんどん光が遠ざかっていく。
私を追いかけるビッキーさんは、泣きそうな顔をしていた。
(ビッキーさん、ケロタは……)
??「バカビッキー!!」
(……だから)
(そんなに悲しい顔をしないで)
力強い手が私の腕を掴む。
コポコポと登っていく水泡を、ただ見つめていた…―。