第4話 遠ざかる距離

少しずつ、シャオさんとの距離が近づいていくことを感じる…―。

彼との話はとても楽しくて、いつも心が穏やかになる。

(もっといろんなことをお話ししたい……)

そんなふうに思い始めていた、ある日のこと…―。

シャオさんと話をしたくて、私は城の中で彼の姿を探していた。

○○「あの、シャオさんの姿を見かけませんでしたか?」

回廊の奥から歩いてきた侍女に尋ねると……

侍女「シャオ様でしたら、街はずれの湖ではないでしょうか?」

○○「街外れの……?」

侍女が言うには、弱くなってしまった水に再び力を与えるために、シャオさんが水の精霊へ奉納の舞を捧げることになったらしい。

○○「じゃあ、シャオさんはその準備のために……ありがとうございます!」

私は話を聞くとすぐに城を出て、その湖へと向かった…―。

(ここは確か……)

ー----

城の使い『こちらの塔から見える湖は、一族にとって神聖な場所になっているんですよ』

○○『神秘的な湖なんですね』

ー----

(一族の神聖な場所……)

湖は想像よりずっと大きく、目を凝らしても対岸が見えないほどだった。

シャオさんの姿を探しながら、水際を歩いていると…―。

○○「あ……」

目の前の情景に、吸い込まれそうになった。

シャオ「……」

湖の浅瀬に素足で入り、シャオさんが舞っている。

動きに合わせて、彼のまとう透き通る水の羽衣が美しくたなびく。

(綺麗……)

シャオさんが天に杖を振りかざすと、水が螺旋を描きながら湖面から流れ上がる。

その姿はまるで、人の姿とは思えないほどに神秘的で、美しくて……

(……いつもとは、まるで別人みたい)

神々しい舞の様子に、私は……

(声が、かけられない……)

異世界のようなその光景に、踏み込んではいけないような気がして、私は遠くから、彼の姿を眺めることしかできなかった。

(どうして……胸が痛い)

一面に広がる青い空をそのまま映し込んだ水面を、シャオさんの足が滑る。

その青一色の世界が、切なく私の胸を打つ。

(どうして、こんなに胸が軋むんだろう)

(すぐそこに、シャオさんはいるのに……近づくことができない)

結局…―。

私はその場で、舞うシャオさんの姿を見続けることしかできなかった…―。

……

数日後…―。

実際に奉納の舞を納める日がやってきた。

あれからどうしてか距離を感じてしまい、私はシャオさんに自分から話しかけることができなかった。

けれど奉納の儀を前にシャオさんは、私に微笑みかけてくれた。

シャオ「せっかくだから、かっこいい姿を見ていってくださいね。 今日の舞は、オンディーヌに伝わるとても伝統ある綺麗な舞なんですよ」

○○「……はい」

(本当は、もう見ちゃったなんて言えないよね……)

美しく笑うシャオさんを前に、私は……

○○「頑張ってください」

そう言ったものの、つい声が沈みがちになってしまう。

シャオ「どうしたんです?いつもの○○さんらしくないですよ?」

○○「そ、そんなことないですよ」

シャオ「……?ならいいんですが……」

従者の男「では、○○様はこちらへ、ご案内いたします」

○○「……ありがとうございます」

シャオさんがつけてくれた従者の男の人についてその場を離れる。

固く握った手のひらは、どうしてか緊張に汗をかいていた…―。

 

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