翌日…―。
私は城の方の案内で、オンディーヌの城下町へ見学にやってきた。
城の使い「こちらの塔から見える湖は、一族にとって神聖な場所になっているんですよ」
○○「神秘的な湖なんですね」
城の使い「長い歴史がありますから。 そして、こちらの右手の建物は、昔、先々代の王子が…―」
色々な場所を案内してもらい街を巡っていると、大通りの向こうから、シャオさんと数人の男性の姿が見えた。
シャオ「……」
シャオさんは私の姿を見つけると、遠くから会釈をして、こちらへ近づいてきた。
シャオ「○○さん、どうですか?オンディーヌの街は」
○○「はい、とても見所があって、楽しいです。 シャオさんはご公務の途中なんですか?」
シャオ「そうなんです。街の水路の様子を視察しに。 申し訳ないですね。本当なら、わたしがあなたを案内したいのに」
困ったように微笑むシャオさんに向けて、首を横に振る。
その時…―。
子供1「あっ、シャオだー!」
(……呼び捨て!?)
街角で遊んでいた子ども達の集団が、シャオさん目掛けて駆け寄ってきた。
子ども1「ねえねえ、シャオ―!遊んで遊んでー!」
子ども2「この前の空中にお魚さん飛ばすの、また見せてよー!」
シャオ「おやおや、元気な子達だね、ほらっ!」
彼が子どもに囲まれながら指を鳴らすと…―。
○○「……!」
足元にあった水路から、魚の形を取った水が、跳ね上がった。
そのまま、魚は中空で優雅に泳ぎ始める。
子ども1「わぁ!すごいすごい!」
子ども2「きゃはははっ!わ~~い!」
○○「すごいですね……魔法ですか!?」
子ども達と一緒になって喜び驚いていると、シャオさんが私を見てくすくすと笑った。
○○「め、珍しくて、つい」
(恥ずかしい……)
シャオ「いいんですよ、素直で素敵じゃないですか。 ふふ……っ、でもまさかあなたにまで喜んでもらえるなんて。 子どもと一緒に笑えるなんて、可愛らしい人なんですね」
顔を赤くしてうつむくと、シャオさんの鈴のような笑い声が青空に響いた…―。