その後…―。
レストランで気分が悪くなった私は、ネペンテスさんに運ばれて、城の客間に寝かされた。
ネペンテス「ヴィラスティンの食は、あなた様のお口には合いませんでしたか?」
〇〇「そういうわけではないんですが、すみません……」
だけど食材が体に合わなかったのか、以後、私は三日三晩、ベッドにふせ続けることになるのだった…―。
…
……
そして三日後の昼下がり…―。
ネペンテス「具合はいかがですか」
〇〇「はい……もう大丈夫です。私、そろそろ帰らないと…―」
ベッドから起き上がろうとするも、視界がぐらりと一回転した。
〇〇「あ……」
ネペンテス「いけませんね」
倒れ込んでしまいそうになる私の体は、ネペンテスさんの腕に支えられた。
そしてそのまま、ベッドへと再び横たえられる。
(ネペンテスさん……)
この三日間はずっとこの調子で、彼は熱心に私の看病をしてくれている。
(怖いところもあるけれど……ちゃんと優しくもしてくれる……)
ネペンテス「今日はあなた様にも馴染みのある粥などを持ってきました。 少しは食べないとよくなるものもよくなりません」
彼が背中を支えてくれて、粥をすくった匙を私の口元に運ぶ。
ネペンテス「お口を開けてください」
〇〇「……」
恥ずかしさに頬が染まるけれど、私は小さく口を開いた。
ネペンテス「そう。いい子ですね……」
満足そうに笑って、ネペンテスさんは私の口にスプーンを押し込む。
(おいしい……)
口にした粥はなんの変哲もない普通の粥だったけど、なぜかとても優しい味がしたのだった…―。