ー----
侍女『ちょうど、異国の使者から頂いたお菓子があるんですよ。餡が中に入っている、珍しいお菓子です』
ー----
侍女さんにすすめられ、おまんじゅうとお茶を用意して、シュニー君に差し出す。
○○「どうぞ」
シュニー「ふむ……」
差し出されたおまんじゅうに口を付けるなり、シュニー君の目が輝く。
シュニー「これは美味しい……! 下僕、お前を褒めてやる」
満足そうにお茶をひとくちすすると、シュニー君は私の頭を労うように撫でる。
○○「よかった、嬉しいです!」
シュニー「……」
(あれ? どうしたのかな?)
いつもは賢く光る瞳が、静かにいっと私を見つめている。
シュニー「よし!」
○○「わっ、しゅ、シュニー君!?」
突然、わしゃわしゃと髪を両手で可愛がられて、私は目をつむった。
シュニー「よーしよし、よくできた褒美に下僕から召使いに昇進させてやろう。 グレ兄や、フロ兄に仕える侍女達に比べれば、まだまだだけどね」
○○「お兄さん?」
シュニー「うん、僕には兄が二人いるんだ。 特に長男のフロ兄はすごいんだよ、この僕より頭が良くて、国民にも崇められる雪の一族の誇りなんだ。 おかげで僕もグレ兄も、フロ兄によく比べられる」
○○「比べられるの、辛いんですか?」
シュニー「いいや、グレ兄は気にしてるみたいだけど、僕は僕だし。 ただ、フロ兄が偉すぎるせいかな……友達があまり…ー」
ぽつりとつぶやかれた言葉が、そのまま止まる。
いつもは自信に満ちた姿が、今は少しだけ寂しそうに見えて、私は…ー。
○○「自分は自分なんて、シュニー君、大人ですね」
シュニー「雪の一族は高潔なんだ。うじうじ悩んだりしないよ」
○○「立派だと思います」
じっと彼の瞳を見つめながら、そう言うと……
シュニー「……当たり前だろ」
シュニー君は微かに頬を赤くして、私の瞳から視線をそらした。
シュニー「まったく。僕の召使いのくせに」
少し頬を膨らませながらそう言う姿は、とても可愛らしい。
頭を撫でてあげたい気持ちを抑えて、私はにっこりと彼に微笑みかけた…ー。