第3話 ボードゲーム

シュニー君と出会ってから、数日…ー。

侍女「申し訳ありません、シュニー王子は、貴方に興味を持たれているようで……。 それにシュニー王子は一度言い出したら、兄のフロスト様の言うことでないと聞かず。 フロスト様は、もう間もなく戻られます。それまで、スノウフィリアにいていただけないでしょうか」

○○「……」

(少しの間なら……)

そうして私は、シュニー君お抱えの小間使いとしての日々を送っていた。

シュニー「ねえ、僕退屈してるんだけど、何か楽しいことしようよ」

○○「楽しいこと? そうですね……」

しばらく考えて…ー。

○○「外は寒いですし、このまま部屋の中でトランプなんかどうですか?」

シュニー「トランプか。でも僕頭いいし、とっても強いよ? だからお前と遊ぶなら……」

シュニー君は、座っていた椅子から飛び上がり、部屋の隅から何かを持ち出してきた。

○○「それは……?」

シュニー「今この国で流行っているボードゲーム。遊び方はね…ー」

テーブルの上に大理石でできた盤面と小さなコマを並べ始める。

(チェスみたいなものなのかな?)

シュニー「このコマは、雪の女王。僕みたいな知略を得意とするプレイヤー向け、でもお前ならこっちかな」

シュニー君は私の手のひらに、小さな妖精のコマを持たせる。

○○「かわいいコマですね」

シュニー「このコマは、みんなを癒すことができるんだ」

○○「そうなんですか、じゃあ……」

その後もシュニー君はゲームをしながらひとつひとつ丁寧に遊び方を教えてくれた。

シュニー「そう、そこでコマを動かして……あ、ちょっと待て! 待っただ!」

○○「はい、ではどうぞ」

シュニー君のその様子が可愛らしくて、クスリと笑ってしまうと…ー。

シュニー「……」

ぷっくりと頬を膨らまして、明らかに不機嫌そうにシュニー君が私を見ている。

シュニー「絶対、負けないからな!」

ハンデを付けてくれて、先生のように振る舞うけれど、勝ち負けにムキになる姿は、少し意外だった。

……

しばらくゲームに興じてると、3時の鐘の音が聞こえた。

シュニー「僕の4勝1敗。下僕の割にはやるじゃないか」

(下僕って呼び方は慣れないけれど……)

シュニー「それよりティータイムの時間だ。用意を頼むよ。お菓子も忘れずにね」

○○「はい」

私は席を外し、ティーセットを用意する。

(そういえば前に、クレープは好みじゃないって言っていたけど……何が好きなんだろう?)

侍女「○○様、シュニー様のティータイムですか?」

○○「あっ、はい」

侍女「ちょうど、異国の使者から頂いたお菓子があるんですよ。餡が中に入っている珍しいお菓子です」

侍女さんが差し出してくれたのは、おまんじゅうのようなお菓子だった。

(……シュニー君、おまんじゅう食べたことなさそうだな)

○○「ありがとうございます、頂きますね」

侍女「いえ……シュニー様の相手をさせてしまい、申し訳ありません。 けれど、あなたといらっしゃる時のシュニー様は、とても楽しそうですわ」

○○「そんな……」

その言葉に、なぜだか頬がすこし赤くなる。

私はおまんじゅうを手に、部屋に戻った…ー。

 

<<第2話||第4話>>