シュニー君と出会ってから、数日…ー。
侍女「申し訳ありません、シュニー王子は、貴方に興味を持たれているようで……。 それにシュニー王子は一度言い出したら、兄のフロスト様の言うことでないと聞かず。 フロスト様は、もう間もなく戻られます。それまで、スノウフィリアにいていただけないでしょうか」
○○「……」
(少しの間なら……)
そうして私は、シュニー君お抱えの小間使いとしての日々を送っていた。
シュニー「ねえ、僕退屈してるんだけど、何か楽しいことしようよ」
○○「楽しいこと? そうですね……」
しばらく考えて…ー。
○○「外は寒いですし、このまま部屋の中でトランプなんかどうですか?」
シュニー「トランプか。でも僕頭いいし、とっても強いよ? だからお前と遊ぶなら……」
シュニー君は、座っていた椅子から飛び上がり、部屋の隅から何かを持ち出してきた。
○○「それは……?」
シュニー「今この国で流行っているボードゲーム。遊び方はね…ー」
テーブルの上に大理石でできた盤面と小さなコマを並べ始める。
(チェスみたいなものなのかな?)
シュニー「このコマは、雪の女王。僕みたいな知略を得意とするプレイヤー向け、でもお前ならこっちかな」
シュニー君は私の手のひらに、小さな妖精のコマを持たせる。
○○「かわいいコマですね」
シュニー「このコマは、みんなを癒すことができるんだ」
○○「そうなんですか、じゃあ……」
その後もシュニー君はゲームをしながらひとつひとつ丁寧に遊び方を教えてくれた。
シュニー「そう、そこでコマを動かして……あ、ちょっと待て! 待っただ!」
○○「はい、ではどうぞ」
シュニー君のその様子が可愛らしくて、クスリと笑ってしまうと…ー。
シュニー「……」
ぷっくりと頬を膨らまして、明らかに不機嫌そうにシュニー君が私を見ている。
シュニー「絶対、負けないからな!」
ハンデを付けてくれて、先生のように振る舞うけれど、勝ち負けにムキになる姿は、少し意外だった。
…
……
しばらくゲームに興じてると、3時の鐘の音が聞こえた。
シュニー「僕の4勝1敗。下僕の割にはやるじゃないか」
(下僕って呼び方は慣れないけれど……)
シュニー「それよりティータイムの時間だ。用意を頼むよ。お菓子も忘れずにね」
○○「はい」
私は席を外し、ティーセットを用意する。
(そういえば前に、クレープは好みじゃないって言っていたけど……何が好きなんだろう?)
侍女「○○様、シュニー様のティータイムですか?」
○○「あっ、はい」
侍女「ちょうど、異国の使者から頂いたお菓子があるんですよ。餡が中に入っている珍しいお菓子です」
侍女さんが差し出してくれたのは、おまんじゅうのようなお菓子だった。
(……シュニー君、おまんじゅう食べたことなさそうだな)
○○「ありがとうございます、頂きますね」
侍女「いえ……シュニー様の相手をさせてしまい、申し訳ありません。 けれど、あなたといらっしゃる時のシュニー様は、とても楽しそうですわ」
○○「そんな……」
その言葉に、なぜだか頬がすこし赤くなる。
私はおまんじゅうを手に、部屋に戻った…ー。