雪の国スノウフィリア・白の月…ー。
○○「……っ!」
指輪から生まれ出た光が、ひとりの少年の体を包む。
雪を思わせる白い肌に、真っ赤な瞳が花開いた。
シュニー「ん……お前は……?」
よく動く赤い瞳が、私を観てキラキラと輝く。
シュニー「お前が目覚めさせてくれたの?」
○○「うん」
シュニー「そう。じゃあ……」
白い頬が健康的なバラ色に染まった次の瞬間…ー。
シュニー「お礼に僕の下僕にしてあげるよ!」
○○「え!?」
(げ、下僕……?)
言葉を失ったまま立ち尽くす私に、彼は悠然とした態度で口を開く。
シュニー「僕を雪の国の第三王子、シュニーと知って、目覚めさせてくれたんだよね? じゃあ僕、お腹が減ってるから、さっそく街に行って何か買ってきてよ」
○○「ええと……」
何と言っていいかわからず、大人びた顔をする少年王子に、あっけにとられてただ瞳を瞬かせていた。
…
……
(買ってきてと言われても……)
さすがに目覚めたばかりの王子を雪原にひとり置いていくわけにもいかず、ひとまず街に行くことを提案して、私達は二人でスノウフィリアの城下街へとやってきた。
○○「これでいいかな?」
シュニー「クレープか、僕の好みじゃないけど…初めてのお使いなら仕方ないか」
シュニー君は、手渡したクレープを無表情でほおばっている。
(とりあえず、お城に連れていってあげないと……)
彼の口元には、小さな口に入りきらなかったのか、白いクリームがついている。
(下僕って言われたときは驚いたけれど)
私はそんな彼の様子に、歳相応の可愛さを感じていた…ー。