おばあ様の誕生パーティーは、リッツさんの考えた通り、とても盛大なものとなった。
会場は私の提案が取り入れられ、おばあ様の大好きな花でいっぱいに溢れている。
王太妃「まあ……嬉しい」
大勢のお客様が集まり、お祭りのような華やかさが会場を包む。
兵士達「王太妃殿下! お誕生日おめでとうございます!」
貴族達「おめでとうございます!」
たくさんの人達が、次々にリッツさんのおばあ様をお祝いする。
王太妃「こんなにお城の中が賑やかになるのは、あの人がいた時以来ねぇ」
おばあ様の目尻に、優しい笑い皺がつくられる。
おばあ様の様子に、リッツさんもこの上なく嬉しそうな笑顔を見せた。
リッツ「ほら、こんなこともできるんだ!」
リッツさんが得意げに指を鳴らすと、花火のようにその場で雷が小さく弾けた。
〇〇「綺麗……雷を見て楽しく思ったなんて、初めて」
雷の魔法に夢中になっていると、おばあ様が近づいてきた。
王太妃「なんだか懐かしくなるわね……亡くなったあの人もリッツに似て、楽しいことが大好きだったわ。 ああやって、みんなに囲まれて人気者なのもそっくり」
〇〇「王太妃様……」
にこやかに微笑む様子に、私も笑顔で応える。
すると人々の輪の中から、リッツさんがこちらへやってきた。
リッツ「おばあ様、〇〇、楽しんでくれてる!?」
王太妃「もちろんよ、リッツ」
〇〇「はい! 雷がこんなに綺麗なものだなんて、思ってませんでした。 皆、楽しそうで……リッツさんの魔法、すごく素敵ですね」
リッツ「……っ!」
思ったままの感想を連ねると、リッツさんの頬が赤くなった。
(あれ? どうしたのかな)
すると横から、おばあ様が上品な笑い声を響かせる。
王太妃「ふふ……素直なお嬢さんなのね、リッツが赤くなるのもよく分かるわ。 リッツ、〇〇さんのこと、これからも大事になさいよ」
リッツ「……おばあ様こそ、長生きしろよな」
ぶっきらぼうに紡がれたリッツさんの言葉に、おばあ様はまた声を出して笑った。
こうして……
誕生日パーティーは最高の盛り上がりを見せるままに幕を閉じたのだった…-。