それから…-。
私達は二人でおばあ様のお誕生日を祝うためのアイディアを練ることにした。
リッツ「とりあえず、オレはやっぱりパーティーかなって思うんだけど……」
〇〇「いいですね」
リッツ「そう、オレの知り合いとか、おばあ様の知り合いも呼んで、とにかく賑やかで楽しいヤツ。 おばあ様、城の中にしかいられないし、普段きっとさみしいと思うから……」
紙の前でペンをくるくる回しながら、リッツさんが楽しげに言う。
リッツ「けど、もう年だし、おばあ様、疲れるかなー。 ねえ、キミはなんかいい案ない?」
リッツさんに問われて……
〇〇「おばあ様は、何かお好きなものはないんですか?」
リッツ「それって食べ物とかそういうの?」
〇〇「うーん、それもいいと思うけど……例えば、大切なものとか、普段楽しみにしていることとか」
リッツさんは二度三度、頷いて……
リッツ「そういや、おばあ様、花が好きだった。 城の外に出れなくなった今も、具合のいい日はいつも中庭で花を見てるし」
〇〇「お花が好き……」
私はリッツさんの話を聞いて、頭の中に浮かんだ案を彼に伝える。
〇〇「リッツさん、あの…-」
…
……
私の案を聞いて、リッツさんは一度ゆっくりと考え込んで……
リッツ「うん、それで行こう! おばあ様、喜んでくれるかな……くれたらいいなっ!」
〇〇「きっと素敵な笑顔になってくれますよ」
リッツ「キミ、すごいね! ありがと!」
リッツさんの顔が近づいたと思ったら……
前髪がふわりと掻きあげられ、柔らかなキスが額に落とされた。
〇〇「……!」
それは以前よりも、ずっと優しくて温かいキスで……
〇〇「リ……リッツさん」
リッツ「あ……オレ」
リッツさんは自分でも驚いたように、大きな瞳を瞬かせていたけれど……
リッツ「……」
やがて、照れくさそうに、けれど嬉しそうににっこりと微笑んだ。
(こんな表情、初めて見た……)
その笑顔に、私の胸がくすぐったさを覚える。
(何だろう、この感じ……)
窓からは、柔らかな陽の光が静かに差し込んでいる……
リッツ「さ、計画を立てよう!」
その後、私達は具体的な計画を練り始めた。
一緒に計画を練る間、リッツさんはずっと楽しそうな笑顔を絶やさなかった…-。