ギルドの男1「たっ、大変ですっ!」
ダヤン君と私のいるギルドの中に駆け込んできた男性は、肩で大きく息をしていた。
顔色もひどく青ざめているように感じられる。
ダヤン「どうした、何があった」
さきほどまで興奮気味だったダヤン君は、今は長らしい引き締まった顔つきをしていた。
ギルドの男1「そ、それが、管理庫にあったはずの、ギルドの薬とお金が……なくなっているんです!」
ダヤン「はぁああ!?」
(なくなった……!?)
報告を受け、ダヤン君の顔も一気に青ざめる。
その後すぐに、怒り心頭となり、目を吊り上げた。
ダヤン「誰の仕業だよっ! 絶対に、ひっつかまえてやる!!」
ギルドの男1「あ、あの、その犯人ですが……」
ダヤン「おう! 目星でもついてんのか!?」
ギルドの男1「それが……ダヤンを疑っている者が大勢いまして」
ダヤン「はぁああああ!??」
思わず耳を塞いでしまいたくなるようなダヤン君の叫び声が、調合室に響き渡る。
ギルドの男1「そっ、それがですね、モルファーンに旅立たれる前夜に、あなたがお一人で管理庫に行かれるのを見たと言う者がおりまして」
ダヤン「んだよそれ! 濡れ衣だろっ! 管理庫くらい出入りして当然じゃねえかっ!」
ギルドの男1「それだけでなく、大荷物で管理庫から出て行ったと……」
ダヤン「んなモン、出かけるなら当たり前の準備じゃねーかよ!」
○○「あ、あの、ダヤン君落ち着いて……」
ダヤン君は、今にも男性に殴りかかってしまわんばかりだ。
ダヤン「これが落ち着いてられっかよ! 大事な金と薬がなくなって、一番むかっ腹が立ってんのは、オレなんだからな!!」
その通り…―。
乱暴に扉を開ける音が響き、バタバタと大勢の人達が入ってくる。
ギルドの男2「いたぞ! ダヤンだ!!」
ギルドの男3「薬をどこへ持ってった!?」
ギルドの男4「普段から金に汚いあんたのことだ! 絶対に犯人だろう!?」
ダヤン「何だよお前らっ! オレは何も知らねえよ!」
口々にダヤン君を責め立てながら、男達が乱入してくる。
(ど、どうしよう……)
○○「あっ、あの! 仲間を疑うなんてひどいと思います。 まずは、ダヤン君の話も…―」
思わず、ダヤン君と男達の前に割って入ってしまうと……
ギルドの男3「うっせえ!」
○○「……っ!」
ダヤン「○○っ!」
興奮した男達に押しのけられたところを、ダヤン君のしなやかな腕が支えてくれた。
ぎゅっと腕をきつく握られる。
(ダヤン君……悔しそう)
ギルドの男2「とにかく吐くまで閉じ込めておけ!」
ギルドの男3「そうだそうだっ!!」
ダヤン「わっ、ちょっ! お、お前ら……!!」
○○「……!?」
どさくさに紛れたように、私の体も乱暴に引きずられる。
(ど、どうしよう)
ダヤン「なっ! お前らっ、こいつは関係ねえだろ!」
ダヤン君が男達の腕を振り払い、私のところへ駆けつけてくれる。
ギルドの男2「見ない顔だ…疑わしい。この女にも話を聞く必要がありそうだ」
私に伸ばされる男の手を、ダヤン君が勢い良く払いのける。
ダヤン「うっせえ! 関係ねえって言ってんだろ!! ……っ!!」
男達の一撃が腹に命中して、ダヤン君はがくりと膝をついた。
○○「ダヤン君……っ!!」
ダヤン「離せっ! ○○を離せー――――!!!」
ダヤン君の叫びも虚しく、私達は男達に引きずられるようにして連れて行かれてしまうのだった…―。