○○「やっぱり、お城に戻りましょう?私も一緒に行きますから」
ソルベージュ「そうだね……」
なんとかソルベージュさんを説得することに成功して…―。
私達は、ソリテュードの城へと戻ってきた。
すると、帰還の報を聞いたアルマンさんが、すぐに城の奥から現れて……
宰相アルマン「……ソルベージュ様……!」
ソルベージュ「アルマン……」
ほんの一秒ほど、彼らの前に沈黙が訪れたかと思うと……
アルマンさんはソルベージュさんの目の前で、膝をついて臣下の礼をとった。
宰相アルマン「ご帰還……配下共々、お待ち申し上げておりました!王子に決めていただきたいことが山積みなのです。しばらくはお忙しくなりますよ?」
ソルベージュ「……そう、なのかい?」
彼はアルマンさんの前で瞬きを繰り返し、私にかすかな視線を送ってくる。
彼の眼差しを受け止めてうなずくと、彼の瞳が見る間に輝き出した。
ソルベージュ「そうかそうか、やはり神に愛されしこの僕の力が必要なのだな!」
宰相アルマン「はい!もちろんでございます。細かな仕事は私の方で片づけておきましたので、王子には王子にしかできないお仕事をぜひ」
アルマンさんもどこか喜ばしそうに、その場にいた侍女に指示を出すと、山となった書類を持ってこさせるのだった。
ソルベージュ「どうやら僕にはやはり王子としての椅子がお似合いなようだね」
○○「そうですよ、ソルベージュさん」
すっかり自信を取り戻したソルベージュさんの姿に、私はほっと息をつく。
ソルベージュ「よし、そうと決まれば、まずは君の歓迎会を取り仕切らなければ!」
○○「えっ!でもこの山になった書類はいいんですか?」
ソルベージュ「この僕が本気を出せば、こんなもの造作もないさ!一昼夜のもとに、こうなんとか上手い具合にしてみせよう……多分」
(だ、大丈夫かな……?)
胸を張って執務室へ向かいながら、ソルベージュさんは後ろに付き従うアルマンさんを振り返る。
ソルベージュ「さあ、思い立ったらすぐに行動だ。アルマン、手配を頼む」
宰相アルマン「はい、ソルベージュ様……!」
ソルベージュ「とびきり贅を尽くした華やかなものにしてくれたまえよ?」
宰相アルマン「もちろんでございます!」
アルマンさんが、嬉々として城の奥に駆けて行く。
こうして自信に満ちた王子の帰還を迎えたソリテュード城は、無事にかつての姿を取り戻したのだった…―。