○○と共に、集落中の子ども達にプレゼントを配り歩いた後…―。
キャピタ「想像以上に大変だったな……。 しかし、貴方のおかげで無事に配り終えることができた」
○○「いえ、私は何も…―」
キャピタ「いや。貴方がいなければ、こう上手くはいかなかっただろう」
謙遜する○○の言葉を遮るようにそう言った後、私は煙管の煙を吐き出し……
先ほど子ども達にプレゼントを配っていた時のことを思い返した。
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キャピタ『さあ、いい子にしていた君達に贈り物をあげよう』
男の子1『わぁ、ホントに!? 僕達がもらっていいの?』
キャピタ『本当だとも。さあ、どうぞ』
男の子1『やったー! ありがとー!!』
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(……子ども達も○○も、満ち足りた顔をしていた)
キャピタ「サンタクロースの謎こそ解けなかったが……。 それでも、有意義な時間を過ごせた気がする。 不思議だ。謎が解けなかったというのに、こうも満たされた気持ちになるなんて」
(我ながら不可解極まりないが……)
(しかし、おかげで正体不明の充実感という新たな謎が生まれた)
(城に戻ったら、早速この謎に迫ることにしよう)
○○「キャピタさん……」
私の言葉に○○は心なしか嬉しそうな表情を浮かべ、私は私で、目の前に現れた新たな謎に心を躍らせてしまう。
すると……
○○「あの、キャピタさんにもプレゼントがあるんです」
彼女はそう言うと、手のひらに乗る程度の小箱を差し出した。
キャピタ「私に……? 一体、いつの間にこんなものを?」
○○「はい。その、覚えていますか? 二人でイルミネーションを見た時……」
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キャピタ『先ほどは、どこに行っていた? 言ってくれれば、私も同行したものを』
○○『あ、えっと……。 いえ、少し私的なもので……』
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○○「実はあの時、これを買っていたんです。 でも、できれば渡すまで内緒にして驚かせたかったので…」
(内緒に……?)
キャピタ「なるほど。だから、あんなにも言い辛そうにしていたのか」
差し出されたプレゼントの小箱を、もう一度見る。
(まさか、貴方からこんなものをもらえるとは)
(○○……)
キャピタ「……思いがけない贈り物を、ありがとう」
(貴方といると、本当に予想外のことばかりが起こるな)
(まさか、私がこのような感情を抱くなんて……)
不意に湧き上がった感情を噛みしめながら、プレゼントごと○○の手を包みこむ。
するとその瞬間、ひとひらの雪が私達の間に舞い降りて……
キャピタ「今、貴方を想う気持ちは私の中で……雪のようだ。 柔らかで、真っ白で。 大切なものを優しく包み込むような、そんな気持ちだ……」
私は言葉の通り、○○をそっと包み込んだ。
キャピタ「本当に抽象的だ。私らしくないな」
○○「そんなこと…―」
言い終えるのを待たず、私は彼女の柔らかな髪を撫でる。
○○「暖かい……」
キャピタ「ああ……私もだ」
雪に彩られるフォルストで、私はなおも○○を包み込む。
辺りには私達の鼓動と、雪の降り積もる音だけが静かに響き…―。
キャピタ「……貴方には、一体何を贈れば良いのだろうな」
○○「え……?」
キャピタ「貴方からもらった以上のものを、返せるかどうかはわからないが。 私も……今、胸に抱いているこの感情のような。 かけがえのないものを、貴方に贈れたらと思う」
○○「キャピタさん……」
(……やはり、私らしくないな)
○○を抱きしめたまま、自嘲気味に笑みを浮かべる。
すると……
○○「じゃあ、もう少しだけこのまま……。 ……このまま、キャピタさんに抱きしめていてもらいたいです」
キャピタ「○○……」
○○の顔を見ようと体を離そうとすると、彼女は私の胸に顔を埋めてしまう。
その耳は赤く、体から伝わる鼓動は早鐘を打つようで……
キャピタ「……わかった」
私は短くそう返した後、○○を抱きしめる腕に、力を込めたのだった…―。
おわり。