キャピタさんと大量の靴下を買い集めた翌日…―。
私達は、フォルストのいたるところに靴下を吊り下げていった。
キャピタ「……これで最後だな。これだけ吊るせば、サンタクロースも気づいてくれるだろう」
○○「そうですね」
多くの人々が素通りしたり、私達をいぶかしげに見つめる中、子ども達は興味を持ってくれたのか、作業を手伝ってくれた。
(おかげで、作業は早く終わったけど……)
明日の朝、サンタクロースに会えずにがっかりするキャピタさんの姿を想像すると、胸が少し切なくなってしまう。
○○「あの。もしサンタクロースが忙しくて来られなかったら、どうしますか?」
キャピタ「サンタクロースには、ぜひ会ってどのように一晩で配るかなど色々と教えてもらいたいのだが……。 確かに初めて来ることになるこの国では手が回らなくとも、仕方がないかもしれない」
キャピタさんは、特に表情を変えることもなく淡々とそう答える。
キャピタ「だが……」
○○「え?」
急に大きなため息をつく彼に、私は驚きの声を上げてしまう。
キャピタ「覚えているか? 靴下を吊るしていた時……。 手伝ってくれた子ども達に聞かれて、サンタクロースのことを話した」
○○「そうでしたね」
キャピタ「あの子ども達は楽しみにしてしまっただろうが……残念だ」
○○「キャピタさん……」
悲しげに陰るブルーグレイの瞳を見た瞬間、胸の奥に鈍い痛みが走った…―。