月9話 ジェリーの演技指導

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ジェラルド『僕は……もし○○が相手役なのなら、引き受けたいと思います。 夢は夢としてもちろん追いかけたいです。だけど……。 もしあなたが恋愛映画のヒロインを務めるなら、その相手役は僕じゃないと、嫌なんです』

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ジェリーの真っ直ぐな言葉に、私は息を呑みこんだ。

ジェラルド「……ダメかな?」

ぐっと彼が私に近づき、両手で私の右手を掴む。

その瞳が、あまりに真に迫っていて……

○○「ジェリー……」

それでも、思いがけない話にまだ言葉が出ずにいると……

ジェラルド「○○は、言ってくれましたよね。 やっていないと、わからないって」

(あ……)

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○○『やってみないと、わからないこともあると思うんです……私にも、お手伝いさせてください』

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ジェラルド「僕は君に勇気をもらったんです。これは、僕の勝手かもしれませんが……。 大好きな映画を、大好きなあなたと演じることができたら……僕はとても幸せです」

ぎゅっと、ジェリーが私の手を握る力を強くする。

その真剣な眼差しから、目を逸らすことができなくて……

○○「……はい」

私は小さく頷いた。

ジェラルド「ありがとう、○○!」

ジェリーが嬉しさを隠しもせず、高らかに声を出す。

こうして…―。

私はジェリーと共に映画に出演することになったのだった…―。

……

マネージャーさんが制作会社に返事を出すと、すぐに事は運び出した。

何もかも未経験の私のために、発声練習から始まり、衣装合わせ、台本の読み合わせと……

すべてにおいて、ジェリーは手を尽くしてくれた。

ジェラルド「そこはですね、もっと控えめに演技をした方が臨場感が増しますよ」

○○「こう……ですか? 私の演技、オーバーアクション過ぎるんでしょうか?」

台本を片手に、悩んでいると……

ジェラルド「ええと、たとえば指先はこう……」

彼が背中から私を支えるようにして、演技を指導してくれる。

ジェラルド「顎の向きはもっと下の方がいいです」

細く長い指先が、私の顎に触れる。

そして、もう片方の手がお腹に伸びて……

ジェラルド「声はここ、お腹を意識すると、もっと通りやすくなりますから」

○○「は、はい……」

後ろから抱かれるような体勢になり、ジェリーの体温を感じて胸が騒ぎ出す。

だけどそれ以上に、映画に向きあう彼の姿勢は真剣そのものだった。

(ジェリーのためにも頑張らないと……)

私はそう心に誓い、厳しいレッスンを続けたのだった…―。

 

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