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ジェラルド『僕は……もし○○が相手役なのなら、引き受けたいと思います。 夢は夢としてもちろん追いかけたいです。だけど……。 もしあなたが恋愛映画のヒロインを務めるなら、その相手役は僕じゃないと、嫌なんです』
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ジェリーの真っ直ぐな言葉に、私は息を呑みこんだ。
ジェラルド「……ダメかな?」
ぐっと彼が私に近づき、両手で私の右手を掴む。
その瞳が、あまりに真に迫っていて……
○○「ジェリー……」
それでも、思いがけない話にまだ言葉が出ずにいると……
ジェラルド「○○は、言ってくれましたよね。 やっていないと、わからないって」
(あ……)
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○○『やってみないと、わからないこともあると思うんです……私にも、お手伝いさせてください』
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ジェラルド「僕は君に勇気をもらったんです。これは、僕の勝手かもしれませんが……。 大好きな映画を、大好きなあなたと演じることができたら……僕はとても幸せです」
ぎゅっと、ジェリーが私の手を握る力を強くする。
その真剣な眼差しから、目を逸らすことができなくて……
○○「……はい」
私は小さく頷いた。
ジェラルド「ありがとう、○○!」
ジェリーが嬉しさを隠しもせず、高らかに声を出す。
こうして…―。
私はジェリーと共に映画に出演することになったのだった…―。
…
……
マネージャーさんが制作会社に返事を出すと、すぐに事は運び出した。
何もかも未経験の私のために、発声練習から始まり、衣装合わせ、台本の読み合わせと……
すべてにおいて、ジェリーは手を尽くしてくれた。
ジェラルド「そこはですね、もっと控えめに演技をした方が臨場感が増しますよ」
○○「こう……ですか? 私の演技、オーバーアクション過ぎるんでしょうか?」
台本を片手に、悩んでいると……
ジェラルド「ええと、たとえば指先はこう……」
彼が背中から私を支えるようにして、演技を指導してくれる。
ジェラルド「顎の向きはもっと下の方がいいです」
細く長い指先が、私の顎に触れる。
そして、もう片方の手がお腹に伸びて……
ジェラルド「声はここ、お腹を意識すると、もっと通りやすくなりますから」
○○「は、はい……」
後ろから抱かれるような体勢になり、ジェリーの体温を感じて胸が騒ぎ出す。
だけどそれ以上に、映画に向きあう彼の姿勢は真剣そのものだった。
(ジェリーのためにも頑張らないと……)
私はそう心に誓い、厳しいレッスンを続けたのだった…―。