太陽9話 ジェリーの変身

そして数日後……

ジェリーが受けたオーディションの合否通知が出る日が来た。

その結果は…-。

ジェラルド「やりました! 〇〇!!」

〇〇「……っ!!」

待ち合わせ場所に走って現れたジェリーは、手に合格通知を持っていた。

〇〇「おめでとうございます!」

ジェラルド「製作が押しているみたいで、すぐに衣装合わせがしたいからって、この後、スタイリストさん達と打ち合わせなんです。 よかったら〇〇にも来て欲しいんですが……」

〇〇「え、私が? いいんですか?」

ジェラルド「はい、あなたの意見も聞きたいんです」

……

ジェリーに連れられてきたのは、街の中心にある高級ブランド店だった。

スタイリストさん達に囲まれる中、映画のイメージにあったものをと、ジェリーは様々な衣装を試す。

〇〇「あ、この衣装!」

ジェラルド「……」

鏡の前に立ったジェリーは、全身を黒で固めたこれまでとイメージを一新する衣装を身につけていた。

(かっこいい……! まるで別人みたい)

髪も専門のスタイリストに黒っぽく染められて、鋭さが見え隠れする。

ジェラルド「似合いますか?」

私とスタイリストさん達の方を振り向き、彼が右足を軸に一回転する。

〇〇「すごく素敵です」

スタイリスト「監督から聞いてきたイメージとも合致するかと」

それを聞いて、ジェリーが小道具の銃を構える。

〇〇「……!」

不意に手を引かれたかと思うと、気づけば私の体は、彼の片腕に抱かれていた。

ジェラルド「どうでしょう? 役どころのスパイのイメージだと、こんな感じでしょうか?」

ジェリーが、鏡の前でポーズを決める。

〇〇「……!」

同じ鏡に映った私の顔は真っ赤で……

(恥ずかしい……)

その後も、細かな衣装合わせは続いたけれど、私はひとり、胸の動悸を抑えることに必死になっていた…-。

 

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