記録の国・レコルド 星の月…-。
神秘的な建物が立ち並ぶこの国は、他の国とは一風違った雰囲気が漂っていた。
世界中のあらゆる記録を管理する、レコルド……
私は、世界の系図を司る王子・ルグランジュくんに招待され、ここレコルドを訪れていた…-。
城へ着くと、明るい色の髪を揺らして走り寄ってくる人がいる。
ルグランジュ「〇〇ちゃん! 来てくれてありがとう!」
目の前に足を鳴らして止まった後、ルグランジュくんは私の手を取って、濃く長いまつ毛に縁取られた瞳を輝かせながら上下に激しく振った。
〇〇「お久しぶりです」
まぶしいくらいに人懐っこい笑顔を惜しみなく見せられて、自然に頬が綻ぶ。
ルグランジュ「また会えて、オレ嬉しいよ。待ちきれなくて、部屋から飛び出てきたところなんだ」
こちらまで感激するくらいの熱烈な歓迎ぶりに、私は笑顔で返す。
(こんなに喜んでくれるなんて、来てよかった)
そこへ静かに近づいてきたのは……
執事「ルグランジュ様、お客様がお見えのところ申し訳ございません。 ご確認いただきたい件がございまして……至急系図石板の間にお越しくださいますでしょうか」
ルグランジュ「わかった、すぐ行く」
ルグランジュくんは執事さんに答えると、申し訳なさそうに私の顔を覗き込む。
ルグランジュ「ごめんね。せっかく招待したのに今日は時間がなくなっちゃった。 明日よかったら、ぜひ街を案内させて?」
〇〇「はい!」
私の弾むような返事でルグランジュくんは、安心したように微笑み返してくれた…-。