夜の帳が下りる…―。
淡い月の光が輝くある夜、私はとあるパーティに招かれた。
(ここが会場?)
背の高い門をくぐり抜けると、目の前に美しく荘厳な建物が現れる。
(素敵……)
建物を目の前にして、思わずため息が漏れる。
(この中でパーティが開かれるんだ……)
(きっと建物の中も素敵なんだろうな)
代々夢王のクラウンを作っているコロナ国の王子様が、今回、夢王以外に初めてティアラを作った。
今宵のパーティは、そのティアラに一番ふさわしい人を選び、プレゼントをするというもので……
私は招待状を受け取り、この場に列席していたのだった。
(どんなティアラなのかな……?)
想像するだけで、期待に胸が膨らんでいく。
入口では、招待された人々が、華やかな衣装を身にまとい、中へと入っていく。
彼らの体のどこかしらには、招待状に添えられていた蝶の飾りがつけられていた。
(綺麗……本物の蝶がとまっているみたい)
私は、自分にも送られた蝶の飾りを取り出す。
(どこにつけてもいいって書いてあったけど、どこがいいかな)
蝶の飾りを手首に結ぼうと、手首に巻きつけた。
けれどその時…-。
○○「え……?」
蝶の飾りは腕を滑り、ひらひらと風に飛んでいってしまう。
○○「大変……!」
慌てて蝶の飾りに手を伸ばす。
けれど蝶は、指先をかすめるだけで、また一段高く舞い上がる。
(あの蝶々がないと会場に入れなくなっちゃう……!)
○○「どうしよう……」
困り果てて、空を舞う蝶の飾りを見つめていると、長い指がその蝶を絡め取った。
??「こら、彼女にイタズラしたら駄目だよ◆」
優しい声が、蝶の飾りに向けられる。
彼は視線を私に移すと、口元に笑みを浮かべた。
グウィード「Ciao、子猫ちゃん♪」
○○「……グウィードさん!」
仮面の向こうの瞳が、優しく細められたのがわかった。
少し熱をはらんだ風が、私達を包み込んだ…-。