第1話 蝶のいたずら

夜の帳が下りる…―。

淡い月の光が輝くある夜、私はとあるパーティに招かれた。

(ここが会場?)

背の高い門をくぐり抜けると、目の前に美しく荘厳な建物が現れる。

(素敵……)

建物を目の前にして、思わずため息が漏れる。

(この中でパーティが開かれるんだ……)

(きっと建物の中も素敵なんだろうな)

代々夢王のクラウンを作っているコロナ国の王子様が、今回、夢王以外に初めてティアラを作った。

今宵のパーティは、そのティアラに一番ふさわしい人を選び、プレゼントをするというもので……

私は招待状を受け取り、この場に列席していたのだった。

(どんなティアラなのかな……?)

想像するだけで、期待に胸が膨らんでいく。

入口では、招待された人々が、華やかな衣装を身にまとい、中へと入っていく。

彼らの体のどこかしらには、招待状に添えられていた蝶の飾りがつけられていた。

(綺麗……本物の蝶がとまっているみたい)

私は、自分にも送られた蝶の飾りを取り出す。

(どこにつけてもいいって書いてあったけど、どこがいいかな)

蝶の飾りを手首に結ぼうと、手首に巻きつけた。

けれどその時…-。

○○「え……?」

蝶の飾りは腕を滑り、ひらひらと風に飛んでいってしまう。

○○「大変……!」

慌てて蝶の飾りに手を伸ばす。

けれど蝶は、指先をかすめるだけで、また一段高く舞い上がる。

(あの蝶々がないと会場に入れなくなっちゃう……!)

○○「どうしよう……」

困り果てて、空を舞う蝶の飾りを見つめていると、長い指がその蝶を絡め取った。

??「こら、彼女にイタズラしたら駄目だよ◆」

優しい声が、蝶の飾りに向けられる。

彼は視線を私に移すと、口元に笑みを浮かべた。

グウィード「Ciao、子猫ちゃん♪」

○○「……グウィードさん!」

仮面の向こうの瞳が、優しく細められたのがわかった。

少し熱をはらんだ風が、私達を包み込んだ…-。

 

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