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ネペンテス『せっかくの収穫祭です。それに、これだけ多くのカボチャが街にあることですし。 あなた様がそこまで言うのなら、作ってみましょう。 ですが! あなた様には必ず召し上がって頂きますよ。 やるからには、最高のおばけカボチャ料理を作って差し上げましょう』
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おばけカボチャ料理の為に、私達は何軒もの農家を訪れて、巨大カボチャを入手した。
ネペンテス「ではこれをウィル王子に頼んで、街の広場へ設置してもらいましょう」
異常なほど大きなカボチャを前に、ネペンテスさんは満足そうに微笑んでいた。
…
……
街の中央の広場へ設置したおばけカボチャは、かなりの存在感を漂わせている。
ネペンテス「完成形は、食べられるおばけカボチャハウスです」
○○「カボチャハウスですか……すごいですね」
ネペンテス「ここに、他の材料もたくさん用意いたしましたから……」
ネペンテスさんは、いつの間に手配していたのか、山ほどの食材を、巨大なカボチャの前に広げてみせた。
(思った以上に、張り切っているみたい)
○○「ネペンテスさん、私も何かお手伝いできますか?」
ネペンテス「もちろんです。あなた様の美味なスパイスをぜひ振りかけていただかなければ」
○○「えっと……」
(私のスパイス……? 何のことだろう)
それから私達は、一日中おばけカボチャ作りに精を出した。
しかし……
○○「ネペンテスさん、この粉の練り方はどんなふうに……」
ネペンテス「祈り、念じるのです。 美しく、そして美味しい食事には、その精神が宿ってこそ!」
○○「……」
作り方を聞けば、ネペンテスさんは大体不思議な返しをしてくる。
(細かいことは、何となくでいいかな)
かと思えば……
ネペンテス「ああ、駄目ですよ。そのような混ぜ方では……」
○○「……!」
突然、私を後ろから抱き込むようにして、実際に手を握り手ほどきを始める。
(そ、そんな急にされたら……)
ネペンテス「おかしいですね…。 不意に、あなた様の香りが濃くなりました。体温が上がったのでしょうか?」
ネペンテスさんの言葉に、頬が熱くなる。
こうして、おばけカボチャのかぼちゃハウスは、次第にその異様な姿を見せ始めていったのだった…-。