翌日の朝…―。
私達は儀式を受けるために、神殿で水鏡を覗く列に二人で並んでいた。
(私が言ったことなんだから、しっかりしないと……)
そう自分に言い聞かせるのに、順番が近づくにつれ、怖さが増していく。
(もし、澄快が映らなかったら)
そんなことを考えてしまい、心がどうしようもなく揺さぶられる。
思わず彼の服を掴んでしまった。
けれど…―。
澄快「そんなとこ掴んでいないで、こうしろよ」
澄快は私の手を裾から離し、大きな手で包み込んだ。
彼の温もりが、私の手に伝わってくる。
澄快「なんだよ! 冷たくなってるじゃねーか!」
○○「少し緊張して・……」
澄快「大丈夫だ。なんかあってもさ、オレがついてるだろ?」
○○「澄快……」
澄快「……真琴がいたら、『だから余計不安なんだよ』とか言われそうだけどさ」
彼の明るい笑顔が、私の不安を和らげてくれる。
澄快「ほら、なんつーの? 占いとかそういうもんだと思えば気が楽だろ?」
○○「占いって……」
澄快「女ってそういうの好きなんじゃねーのか?」
あっけらかんと笑う彼に、重くなっていた私の心が、一瞬にして軽くなったような気がした。
○○「そうだね」
澄快「だろ? まぁ、オレも緊張してんだけどな」
○○「え?」
澄快は意味深に微笑んだ後、私の手を強く握りしめた…―。