ヨルムンガンドがアースガルズに近づいている…-。
トール「それは、間違いないんだな?」
兵士1「はい」
兵士2「見張り台から確かに確認しました」
トール「……そうか」
トールくんの瞳が、一瞬だけ迷うように揺らぐ。
けれど次の瞬間、その揺らぎは打ち消されて強い光が宿った。
トール「アンタはすぐにこの兵士と城に戻れ。そして他の連中にも伝えろ。城の守りを固めろ、と」
兵士1「援軍はいかがいたしますか?」
トール「すぐに出る。援護はいらない、一人でいい」
兵士1「はっ! 急ぎ伝えてまいります!」
一人の兵士さんが身をひるがえし、城へと走る。
その背中を見送ってから、トールくんも踵を返して歩き出した。
兵士2「それでは姫、こちらへ…-」
○○「待って、トールくん……!」
(一人で戦うなんて……トールくんが強いのはわかってる。けど……)
私はすがりつくように、トールくんの腕に手を伸ばす。
けれど……
トール「触るな!」
その手は虚しく振り払われてしまった…-。