月6話 ヨルムンガンド、襲来

ヨルムンガンドがアースガルズに近づいている…-。

トール「それは、間違いないんだな?」

兵士1「はい」

兵士2「見張り台から確かに確認しました」

トール「……そうか」

トールくんの瞳が、一瞬だけ迷うように揺らぐ。

けれど次の瞬間、その揺らぎは打ち消されて強い光が宿った。

トール「アンタはすぐにこの兵士と城に戻れ。そして他の連中にも伝えろ。城の守りを固めろ、と」

兵士1「援軍はいかがいたしますか?」

トール「すぐに出る。援護はいらない、一人でいい」

兵士1「はっ! 急ぎ伝えてまいります!」

一人の兵士さんが身をひるがえし、城へと走る。

その背中を見送ってから、トールくんも踵を返して歩き出した。

兵士2「それでは姫、こちらへ…-」

○○「待って、トールくん……!」

(一人で戦うなんて……トールくんが強いのはわかってる。けど……)

私はすがりつくように、トールくんの腕に手を伸ばす。

けれど……

トール「触るな!」

その手は虚しく振り払われてしまった…-。

 

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