翌日…―。
トルマリ「天気もいいし、中庭でティータイムにしようよ♪」
○○「うん!楽しそう」
(でも、もてなされるばかりじゃなくて、私も何かお礼がしたいな)
○○「トルマリは、甘いものが好き?」
トルマリ「うん、大好きだよ!」
○○「それなら、ティータイム用に、一緒にクッキーを作らない?」
私の提案に、トルマリが顔をぱっと輝かせた。
トルマリ「○○、クッキーつくれるの!?」
嬉しそうな声を上げるトルマリに、私は慌てて手を振る。
○○「そんなに手の込んだものは作れないけど……」
トルマリ「ぼく、料理とかしたことないから、やってみたい!」
○○は、軽快な足取りで厨房へと案内してくれた。
厨房へ行って事情を話すと、料理人の方が材料を用意してくれた。
(なんだか逆に申し訳なかったかも)
トルマリ「ねえ○○、早く早く!」
トルマリは、子供のように瞳を輝かせている。
(トルマリ嬉しそうだし、まあいいか)
トルマリのその様子に微笑みながら、クッキーを作り始めた。
トルマリ「なんだかすごくワクワクする」
○○「私もだよ」
トルマリは、慣れない手つきでクッキー作りに奮闘している。
トルマリ「見て見て!星の形!」
○○「可愛い!私はハートの形にしようかな」
私達は、思い思いにクッキーの生地を形取っていく。
トルマリ「たくさん作れるね!今度はどんな形にしようかなあ~」
(ふふっ……楽しそう)
トルマリはとても器用で、星や音符や、動物の形をしたクッキーを次々に作っていった。
トルマリ「……わっ!」
○○「トルマリ!?」
トルマリ「ごめんね、天板を出そうとしたら、思ったより熱くって……」
○○「大丈夫?ケガはない?」
トルマリ「全然平気だよ、ありがとう」
心配で見つめていると、ふと視線が重なった。
トルマリ「ごめんね、ビックリさせちゃって」
トルマリがお茶目な笑顔を私に向け、二人で微笑み合った。
(あっ……)
○○「トルマリ、見て」
トルマリの出した天板の上で、きつね色に綺麗に焼けたクッキーが、香ばしい香りを放っている。
トルマリ「わぁ……」
私とトルマリは、クッキーの甘い香りに包まれながら、もう一度にっこり笑い合った。
その後…―。
出来上がったばかりのクッキーをお皿に並べて、私とトルマリは、香り立つ紅茶を楽しんでいた。
(……クッキーの味、どうかな)
私が不安そうにトルマリを見ていると、満面の笑みが返ってきた。
トルマリ「今まで食べたクッキーの中で、○○の味が一番美味しい! 不思議だね!いつもおやつに出してもらうお城のクッキーと、全然違う!」
○○「ふふっ、なぜか自分達で作ったクッキーって、美味しいんだよね」
(誘ってみて本当に良かった)
トルマリが、突然クッキーを運ぶ手を止め、それを見つめる。
トルマリ「……アルマリにも食べさせてあげたいな。今は公務中でいないんだけど、いつか○○に、アルマリを紹介したいな」
(……トルマリ)
○○「うん、ありがとう。今度また作ろうね」
その瞬間…―。
トルマリは私の手を握り、大きな瞳を向けてくる。○○「トルマリ……?」
トルマリ「○○、ずっとぼくの友達でいて! きみといるとね、すっごく楽しいんだ! ぼく……君に会えて、嬉しいな!」
いつになく真剣な表情のトルマリに、私は思わず背筋を伸ばす。
トルマリ「ぼく、こんなだから友達らしい友達があんまりいなかったけど……きみは、ぼくを受け入れてくれた!ほんとにありがとう!」
○○「トルマリ……私もトルマリといると、すっごく楽しいよ!」
そして私達は、にっこりと微笑み合う。
トルマリ「これからいっぱい、遊ぼうね! 買い物と、ピクニックと……お泊まりなんかも!?」
○○「うん!……って、えっ!?」
(お泊まりって……トルマリ、男の子だよね……!?)
戸惑う私に、トルマリが悪戯っぽい笑を投げかける。
(トルマリとなら、いいのかな……)
そんなことを思いながら、トルマリの手を握り返す。
トルマリ「ありがと!○○。だーいすき!」
二人で互いに手を取り合い、これから過ごす楽しい時間に想いを馳せた…―。
おわり。