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トルマリ『男同士で気持ち悪いだろ!』
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二人の男はトルマリが男だとわかり、開いた口がふさがらないようだった。
街の男2「君……男なの?」
トルマリ「そうだよ」
さらりと答えるトルマリに、男達は動揺を隠せない。
街の男1「お……男だってわかってたら、誘ってなかったよ!」
トルマリ「どうして? 楽しかったでしょ?」
きょとんと眼を開き、トルマリは首を傾げた。
街の男1「き、君も……?」
男達の目線が、私に向けられる。
トルマリ「失礼なこと言うなよ、その子はれっきとした女の子」
トルマリが男達を睨む。
男達は言葉を失ったが、次の瞬間私の手を取り強引に引き寄せた。
街の男1「なら……君だけでいいよ、一緒に遊ぼう」
〇〇「や、やめてください!」
街の男1「いたたたたっ!」
(……え?)
見ると、トルマリが私の手を取る男の腕を強く掴んでいる。
トルマリ「嫌がってるの、わからない? ね、〇〇?」
尋ねるようにトルマリに眼差しを向けられ、私は慌てて頷き返す。
〇〇「トルマリ、ありがとう」
トルマリ「任せといて!」
トルマリが、私にぱちりとウィンクをしてくれる。
トルマリは男達を再び睨みつけて、私から男の腕を引きはがしてくれた。
街の男1「いってえ~! くそっ! ふざけんなよ! 気持ち悪い奴だな!」
トルマリ「……!」
トルマリの肩が、微かに震えたように見えた。
街の男2「めんどくせぇの捕まえちまったよ。行こうぜ」
その場を後にする男達を見つめていたトルマリが、静かにまつ毛を伏せる。
(トルマリ?)
トルマリの横顔に悲しそうな色が浮かんで……
〇〇「謝ってください!」
気づくと、私は男達に向かって言葉を放っていた。
街の男「はぁ?」
〇〇「トルマリのこと、そんな風に言わないで……!」
(言っちゃった……怒鳴られるかな?)
ぎゅっと目をつむり、震えていると、足音が遠ざかっていった。
〇〇「……あれ?」
トルマリ「あいつら、呆れてどっか行っちゃったよ」
トルマリが私の顔を覗き込んで、微笑んでくれた。
トルマリ「……ありがと」
トルマリのその言葉が、何だかとても嬉しかった…-。