月6話 恐れているもの

突如、激しくなった雨と落雷に驚いて、私もロッソさんも会話を止めた。

部屋の外に出ると、慌ただしく船員の方達が駆け回っていた。

ロッソ「雷……」

掻き消えそうな声が耳に届き、ロッソさんを見ると……

〇〇「ロッソさん……? 大丈夫ですか!?」

ロッソさんは、真っ青な顔をして小刻みに震えていた。

ロッソ「あ、ああ。問題ない」

〇〇「でも、顔色が…―」

その時…―。

〇〇「っ……!」

ロッソ「……!!」

ひときわ大きな雷の音が、まるで船を揺らすように轟く。

ロッソ「……」

いつもは明るく逞しいロッソさんは、蒼白な顔をして強く柱を握りしめている。

(もしかしてロッソさん、嵐が怖い……?)

―――――

ロッソ『以前……ある嵐の晩に……この船が大破して大勢の仲間をこの場所で失った。 ひどい嵐だった。舵がきかなくて、崖に船をぶつけちまって……』

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ロッソ「だい……じょうぶ…―」

けれどロッソさんのかすれた声は、雷の轟音に掻き消されてしまった…―。

 

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