突如、激しくなった雨と落雷に驚いて、私もロッソさんも会話を止めた。
部屋の外に出ると、慌ただしく船員の方達が駆け回っていた。
ロッソ「雷……」
掻き消えそうな声が耳に届き、ロッソさんを見ると……
〇〇「ロッソさん……? 大丈夫ですか!?」
ロッソさんは、真っ青な顔をして小刻みに震えていた。
ロッソ「あ、ああ。問題ない」
〇〇「でも、顔色が…―」
その時…―。
〇〇「っ……!」
ロッソ「……!!」
ひときわ大きな雷の音が、まるで船を揺らすように轟く。
ロッソ「……」
いつもは明るく逞しいロッソさんは、蒼白な顔をして強く柱を握りしめている。
(もしかしてロッソさん、嵐が怖い……?)
―――――
ロッソ『以前……ある嵐の晩に……この船が大破して大勢の仲間をこの場所で失った。 ひどい嵐だった。舵がきかなくて、崖に船をぶつけちまって……』
―――――
ロッソ「だい……じょうぶ…―」
けれどロッソさんのかすれた声は、雷の轟音に掻き消されてしまった…―。