その夜…―。
儀式が中止となり、帰るべきか悩んでいた私の元に、水鏡が修復されたという知らせが届いた。
(修復されたって……ユーノさんの心に何か変化が?)
ユーノさんが祭壇で待っていると使用人の方に告げられ、私は慌てて宿泊先を出た…-。
水鏡には、月のおぼろげな光が注がれている。
(儀式用の恰好で来てほしいってことだったけど……どういうことなんだろう)
純白のドレスをまとい、ゆっくりと水鏡へと歩みを進める。
すると、水鏡の前でユーノさんがたたずんでいた。
〇〇「……」
青白い月明りに包まれたユーノさんがとても儚げで、私は声をかけられずにいた。
ユーノ「……〇〇様」
入り口で立ち尽くしていると、ユーノさんがこちらを振り返る。
穏やかな笑みを浮かべる彼に、私は安堵の息を吐き出した。
(よかった……)
ユーノ「昨日は申し訳ありませんでした。せっかくお見舞いに来てくださったのに」
〇〇「いえ、私なら大丈夫です。それより水鏡が直ったと聞きました」
ユーノ「……ええ」
その時…-。
(え……?)
ざわりと、周囲の空気が変わった気がした。
ユーノ「君に、真っ先に伝えたかったのです」
ユーノさんはにこりと口の両端を上げる。
けれど、その目はどこか冷たい光を湛え、私を見据えていた。
(ユーノさん?)
その表情に、なんと話しかけていいかわからず私は口をつぐむ。
まるで魔法にかけられたように、私はその場から動くことができなかった…-。