月6話 本当の願い

オレンジ色の夕陽を背に受けて、恋人の二人が幸せそうに肩を寄せ合う。

女性「これで望まない結婚をせずに済みます」

男性「本当にありがとうございました……!」

〇〇「どうかお幸せに」

幸せそうな二人を見送り、安堵の息を吐く。

(これで、二人の願いは叶った……)

〇〇「……シュテルさんはすごいですね」

そうぽつりとこぼすと、シュテルさんは意外そうに問い返す。

シュテル「どうしてそう思う?」

〇〇「シュテルさんは、鏡を直すという願いを叶えることで、二人が結ばれたいという、本当の願いまで叶えてしまいました」

シュテル「ああ……そういうことになるか」

気づいたシュテルさんが、ふっと柔らかく微笑む。

彼の優しい心が伝わって、胸が甘く締めつけられた。

(シュテルさんが、その命と引き換えに叶えた願い…―)

幸せそうに寄り添う後ろ姿を見送りながら、二人の幸せを願わずにいられなかった…-。

 

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