太陽5話 私を包む白い雪の中で

雪の壁が、木々を飲み込み私に迫りくる。

◯◯「カルト……さ…ー」

声が震えて、上手く彼の名前を呼べない。

(止めないと……)

必死にカルトさんへ手を伸ばした。

けれど、それを遮るように雪が私を飲み込んだ。

……

(音がしない……)

目を開けると、真っ白な雪の壁が見えた。

(体が重い……息が苦しい……)

覆う雪が、私の体を芯まで冷たく凍らせていく。

(私……雪に飲まれて……)

(カルトさんは……大丈夫だったかな)

雪に飲まれる前に見た、彼の姿を思い出す。

(頭が……)

意識が朦朧とし始めた、その時…ー。

目の前の雪が、もぞもぞと揺れた。

(何……?)

小さな顔が雪の中から現れて、長い耳を立てた。

◯◯「雪……ウサギ?」

(このウサギは……本物? それとも……)

けれど眠気が押し寄せて、私は重くなっていくまぶたをゆっくりと閉じた。

……

カルト「ごめんね……」

遠くなっていく意識の向こうで、カルトさんの声が聞こえた気がした…ー。

 

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