月6話 発熱

楓さんと山に行った、数日後…―。

見上げている天井が揺れているように見える。

(熱のせいかな……)

山から戻るなり熱を出して寝込んでしまった私は、布団の中から出られずにいた。

楓「○○」

襖の向こうから、楓さんの声が聞こえる。

○○「はい」

静かに襖が開き、楓さんの顔が覗いた。

楓「どう?」

○○「すみません、まだ熱が下がっていないみたいで」

楓「そう……無理やり山に連れて行って、悪かったね」

○○「いえ。無理やりなんて……私も楽しかったので、気にしないでください。 それに、こうして寝ていればすぐに治ると思い…―」

楓「でもよかった。じゃあまだここにいるってことか」

○○「え……?」

楓さんがいたずらっぽい笑みを浮かべる。

(どういうこと……?)

楓さんを見つめると、彼は笑顔のまま私を見つめ返す。

私は返事に困り、楓さんにつられて薄い笑みを浮かべた…―。

 

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