第6話 まぶしく、強い力

破られかけた結界へ向かうため、煌牙様と共に市街地を抜け、深い森の中を進んでいる。

煌牙「この先のようじゃな……」

しっかりと私に寄り添ってくれていた煌牙様の顔が、さらに険しいものになった。

その時…━。

煌牙「ぬしらっ!何をしておるのじゃ!!」

◯◯「っ……!」

煌牙様の怒号が飛び、私まで大きく体が震えた。

賊1「っ!?おっ、おい、煌牙が出てきたぞ!」

賊2「なっ……くそっ!撤退するぞ!」

すぐさま、賊達は逃げようとする。

煌牙様はすうっと目を細めると……

煌牙「逃げるとはな……。 今後、悪事を働けぬよう、灸を据えてやらねばならぬ!」

そう言い終えるが先か、煌牙様は逃げる賊の背中に向かい手をかざした。

その手の先に…ー。

(!なんで強い光……!)

まるで力を集約したかのようなまぶしさをまとった光の輪が、浮かび上がる。

そしてなんとそのまま、逃げる賊を追いかけ始めた。

煌牙「捕らえよ」

煌牙様が、短くつぶやいた途端…ー。

賊1「うわあっ!」

賊2「なっ、何だこれはっ……!?」

光の輪は賊を縛り上げ、すっかり動けなくしてしまった。

◯◯「……すごい……」

あっという間の出来事に、思わず感嘆の声がこぼれ落ちる。

煌牙「皆の者、捕らえて他の悪事がないか確認するのじゃ」

兵たち「はいっ!」

煌牙様の声で、一緒にいた兵士達が一斉に賊を捕らえる。

するとやっと、煌牙様の表情に普段の穏やかさが戻ってきた。

煌牙「怖い思いをさせてしまったの」

優しい顔でそう言ってくれる煌牙様に、私は……

◯◯「……大丈夫です。煌牙様の傍にいたので……」

様々な気持ちが入り乱れており、そう言うのが精一杯だった。

煌牙「そうか。おぬしは強いおなごじゃの」

煌牙様の私を見る目が、一段と優しく温かくなったように感じられる。

煌牙「では、部屋に戻ろうぞ」

◯◯「はい」

煌牙「今日の夕餉は何であろうな」

楽しげに言いながら、また小雨になった空を煌牙様は見上げる。

私も一緒になって空を見上げ……夕餉の好みや互いのことについて話ながら帰路についた。

この時はこれで、全てが解決したのだと思って…ー。

 

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