そして翌日、『愛の日』当日…―。
私は身支度を済ませると窓の外からショコルーテの街並みを見た。
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万里『じゃあ、明日を楽しみにしていてくださいね、しっかり勉強してきますから』
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(万里くん、勉強するって言ってたけど何のことだったんだろう?)
彼の残した言葉が気になるまま、私は万里くんの宿泊先を訪れることにした。
○○「こんにちは。万里くん、いますか?」
扉をノックすると、部屋の中からすっかり外に出る準備の整った万里くんが顔を出した。
万里「こんにちは、○○ちゃん。 一緒に行きたいところがあるので、来てもらってもいいですか?」
少し弾んだ声に頷くと、万里くんが私の手を包み込むように握った…―。
…
……
二人で手を繋ぎながら街を歩くと、しばらくして見覚えのある通りに出た。
(あれ? ここって確か……)
万里「到着です」
彼が立ち止まったのは、昨日二人で訪れた、動物のチョコが印象的だったあの店だった。
小さな扉を開けて店に入ると、万里くんが店員さんに話しかける。
万里「予約しているものを」
ショップ店員「お待ちしておりました」
店員さんは奥に入ると、小さな箱を手にして戻ってきた。
その小箱を受け取って、万里くんが私の方を振り向く。
万里「どうぞ、○○ちゃん」
○○「私に? いいんですか?」
万里「はい、アナタのための贈り物ですから」
(贈り物……)
○○「あ、じゃあ……!」
万里「はい。昨日は、アナタと一緒に過ごして……アナタへの贈り物を決めたんです」
○○「万里くん……」
「愛の日は『贈り物を通じて想いを伝える日』と言われていて、ちょうどその日が明日なんです」
(万里くん……もしかして……)
顔が急速に熱くなっていく。
昨日までの彼の真剣な表情を思い出すと、胸がいっぱいになる。
○○「素敵……」
手渡された赤い小箱にはパステルカラーのリボンがかけられており、そのリボンが花のように結ばれていた。
○○「あ、このリボンよく見たら小さな動物がいっぱい。可愛いですね」
万里「よかったです。○○ちゃんが、私が可愛いと思ったものを同じように思ってくれて。 でも……」
彼はリボンの端を指先で摘まみ上げて……
万里「この箱、開けたらもっと可愛いんですよ? よかったら今から一緒に公園へ行って食べませんか?」
嬉しそうに笑う彼に頷いて、私達は店を後にしたのだった…―。