太陽7話 新曲の歌詞

ステージに向けての練習を始めた翌日…

早速、フロストさんのための新曲を手に先生がレッスン場に入ってきた。

先生「曲はほぼ仕上がりました。あとは…」

フロスト「何か問題でも?」

先生「いえ。歌詞なのですが、ご自身で書かれてはいかがでしょうか?」

○○「…!」

(フロストさんの、作詞…)

驚いたのはフロストさんも同じのようで、やや返事に詰まっている様子だった。

先生「最初から作曲もこなすのは難しいだろうと思いますが。 作詞の部分は、フロスト様なら
できるのではないかと思います。 演出的にも、観客によりアイドルの気持ちが伝わりやすくなりますし」

フロスト「作詞、か…」

先生「定番は、ラブソングとかなんですが…」

(フロストさんの…ラブソング…フロストさんって…どんな愛の言葉を並べるんだろう)

そこまで考えて、ふと頬が熱くなる。

(何考えてるんだろう、私…)

一人で赤面しながら、そんなことを考えてしまっていると…

先生「でも、まあ最近じゃ応援歌などが人気ですね。万人受けしますし」

○○「お、応援歌…!そうですよね! 皆が元気になれるような歌詞がいいと思います」

誰が私の心の声を聞いていたわけでもないのに、恥ずかしくて、つい声を大きくしてしまった。

フロスト「…」

フロストさんの伺うような視線が、私に向けられる。

(睨まれている…ような)

火照ったままの頬も余計に恥ずかしく、どうしてもフロストさんを見ることができない。

先生「フロスト様なら必ず素敵な詩が作れると思いますよ」

先生の勧めに、フロストさんは一つ息を吐いた後…-。

フロスト「わかった。作詞にも挑戦してみよう」

しっかりとした声で、そう返事をしたのだった…-。

翌日…

(一日で書き上げるなんて…)

フロストさんはすでに詩を書き上げており、すぐに歌詞をのせて歌ってみることになった。

先生のピアノ前奏が始まり、フロストさんがリズムを取りながら呼吸を整え始める。

フロスト「~♪…輝く雪に抱かれながら、強く気高い夢を見る」

(すごい…!メロディとも曲の雰囲気ともぴったりで)

フロストさんが歌い始めた瞬間に、このレッスン場の雰囲気が一変した。

フロスト「決して解けることのないこの思いは、いつか煌く結晶に…」

歌詞の内容は、フロストさんの心を歌っているようでもあり、皆に、挑戦の仕方、夢の描き方を伝えるような内容でもあった。

(なんて…まっすぐ心に刺さる詩なんだろう)

フロストさんの紡ぐ音と言葉が、胸を熱くする。

先生「素晴らしい!まさかここまでとは思いませんでした」

○○「私も、すごく感動してしまいました。 早くステージで聴きたいです!」

すると…-。

フロスト「…そうか」

○○「…?」

フロストさんが私を見て、微かに笑ったような気がした…-。

そして、ステージの前日…

今日は、喉を休めるためにゆっくり過ごすことになっていた。

○○「もう、準備はばっちりですか?」

フロスト「ああ、自分で歌詞を書いたのは、言う通り正解だったな。自身の言葉だと思いを乗せやすい。 それに何より、覚える必要がなかった」

○○「はい。とっても素敵な歌でした…強くて、まっすぐで。 でも優しくて…まるで」

フロストさん自身に励まされてるようだと伝えようとした時…-。

フロスト「最初は上手く作れなかった」

○○「え?」

フロスト「どうも強い言葉しか並べられず、詩が固くなった…だが、お前のことを想うと、優しい言葉が浮かんできた」

○○「フロストさん…」

見上げると、私の顔を覗き込む彼の顔が間近に迫っていて…

ドキドキと、途端に心臓の音が速くなる。

○○「…嬉しいです。 ステージ、頑張ってくださいね」

フロスト「ああ、わかっている。お前が見たどんなライブよりも良いものにすると誓おう。 必ず、○○を満足させてやる」

フロストさんの自信に満ちた言葉に、表情に…胸がまた熱くなるのだった…-。

 

 

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