いよいよ、ライブの本番当日・・・ー。
色とりどりのライトが会場を照らし出し、大きな音が響き渡る。
(シュニー君の出番まで、あと少し・・・・・・)
シュニー「・・・・・・」
○○「シュニー君、大丈夫ですか?」
たくさんのアイドルが歌を披露する中、緊張した面持ちで舞台袖に立つシュニー君にそっと声をかけると、じっとステージを見つめていた彼は、弾かれたように顔を上げた。
シュニー「誰に聞いてるの?大丈夫に決まってるでしょ」
○○「う、うん・・・・・・そうですね」
シュニー「声、震えてる」
○○「えっ?」
言われるまで、気づかなかった。
(私・・・・・・知らないうちに緊張してたんだ)
よく見れば、指先も震えている。
そんな私の手を、シュニー君の温かな手のひらが包み込んだ。
シュニー「お前が緊張してどうするのさ」
○○「でも・・・・・・」
シュニー「・・・・・・あれだけ練習したんだ。大丈夫、しっかりやってくるよ。だから・・・・・・ちゃんと僕のことを見てろよ」
その瞬間、大きな歓声が巻き起こる。
シュニー「前のステージが終わったね」
そうつぶやくと、シュニー君は握った手に力を込めた。
シュニー「それじゃあ行ってくる。僕の活躍、見逃したら許さないからね!」
シュニー君がステージに立った瞬間、わっと歓声が上がった。
シュニー「皆! これから始まる僕のステージ、たくさん盛り上げてよ!」
観客達「きゃあああーっ!」
あどけなさが残るシュニー君の挑戦的な笑顔に、会場からは歓声が上がる。
そんな中、ついにシュニー君のステージが始まり・・・・・・
観客1「あの子、すっごく上手いね!」
観客2「うんうん!ずっと聞いていたくなるよ!」
(皆、シュニー君の歌に聴き惚れてる。 それに・・・・・・)
ギリギリまで練習を重ねてきたダンスも、ひとつひとつのステップを確実に踏み安定している。
けれど、次の瞬間・・・・・・
(あっ!)
練習でなかなかうまくいかなかった部分で、シュニー君の足がもつれてしまう。
(シュニー君・・・・・・!)
私が思わず身を乗り出した、その時だった。
シュニー「・・・・・・っ!」
シュニー君の指先が、くるりと空中に線を描く。
それはまるでダンスの振り付けのようだったけれど・・・・・・
観客1「あれ・・・・・・? 雪?」
観客2「すごーい! 綺麗・・・・・・!」
(そっか。シュニー君、魔法を・・・・・・)
シュニー君のとっさの機転で、会場が大きく盛り上がる。
ダンスも持ち直し、ますますきらきらと輝いて・・・・・・
今日一番の大歓声の中、シュニー君のステージは幕を閉じた。
・・・
・・・・・・
○○「シュニー君、お疲れ様です! すごかったです、ダンスも歌も・・・・・・お客さん達、皆笑顔になっていましたよ!」
舞台袖に戻ってきたシュニー君に駆け寄り、飲み物とタオルを手渡すと、彼は得意気に口角を上げた。
シュニー「当たり前だろ。僕は雪の国の第3王子なんだから。 それより・・・・・・」
飲み物を近くにあったテーブルに置くと、シュニー君は私の手をそっと握る。
シュニー「お前は? 僕のこと、ちゃんと見てたわけ?」
○○「え?」
まっすぐに見つめられて、私は思わず息を呑む。
そんな私に、シュニー君は少し拗ねたような顔を向けた。
シュニー「ステージに出る前に言ったよね? ちゃんと見てろよって」
○○「はい・・・・・・もちろん、見てました。 とても格好よくて、見ていたら自然と笑顔になってしまって・・・・・・。すごく素敵なステージでした」
シュニー「ふーん、ならいいけど・・・・・・」
シュニー君はわずかに頬を赤らめたまま、私の瞳を覗き込む。
まっすぐな眼差しは、スポットライトを浴びた時のようにきらきらと輝いていた。
シュニー「たくさんの人もそうだけど・・・・・・僕はお前の笑顔だって見たい」
優しい指先が、私の頬を撫で・・・・・・
シュニー「それが主人の務めだろ? だからお前は、これからも僕にたくさんの笑顔を見せること。いいね?」
○○「シュニー君・・・・・・」
優しい命令が、私の胸を甘く締めつける。
そんな、この上なく素敵なご主人様に・・・・・・
○○「はい」
私は心からの笑顔を向けながら返事をしたのだった・・・ー。
おわり