スカウトの方に連れられ、ダンススタジオにやってきた私達は・・・ー。
スカウト「これがライブで使う楽譜なんだけど、楽譜は読める?」
シュニー「僕は誰だと思ってるの? これくらい余裕だよ」
スカウト「そうか、それは頼もしい! じゃあ、ちょっと歌ってみようか」
胸を張るシュニー君に、スカウトの方は嬉しそうな表情を見せる。
そうして簡単な音取りの後、さっそくシュニー君は歌い始め・・・・・・
(・・・・・・綺麗な、声)
その歌声はまっすぐに透き通っていて、すっと胸に染み込んでくる。
最後まで歌い上げると、彼は得意気に私の顔を覗き込んだ。
シュニー「どうだった?」
○○「すごく上手でした。聞き惚れてしまって・・・・・・」
シュニー「まあ、当然だよね。僕が歌ってるんだから」
シュニー君は得意げな顔をしながら腕組みをする。
スカウト「いやあ、想像以上だよ! こんなに素晴らしい歌声だったなんて! よーし。歌はこの調子なら問題なさそうだし、次はダンスだね!」
シュニー「えっ? ダンス・・・・・・」
さっきまで明るかったシュニー君の顔が、一気に曇る。
その理由は、ダンスのレッスンを始めるとすぐに明らかになった。
(やっぱり、ダンスはあまり得意じゃないんだ・・・・・・)
シュニー君は一生懸命踊っているものの、どうしても間違えてしまうようで・・・・・・
なかなか完璧にならないダンスに、スカウトの方も難しい表情を浮かべている。
スカウト「うーん、ダンスは苦手なのかな?」
シュニー「・・・・・・」
スカウト「ああ、でも君のその歌声さえあれば無理に踊らなくても大丈夫だよ。会場を虜にすることは間違いないから・・・-」
シュニー「・・・・・・っ! それじゃあ駄目だ!」
言葉を遮るように、シュニー君が声を上げる。
○○「シュニー君・・・・・・?」
シュニー「高潔なる雪の一族である僕に、できないことなんてない! それに・・・-アイドルっていうのは、歌とダンスで人を笑顔にするんでしょ? だったら、ダンスもできないと駄目だ・・・・・・違う?」
シュニー君が、私の方へと向き直る。
(シュニー君・・・・・・ダンスは苦手みたいだけど)
(でも、シュニー君が頑張ろうとしてるなら・・・・・・)
○○「・・・・・・そうですね。私も協力しますから、頑張りましょう」
シュニー「当然だよ! 必ずダンスも完璧にしてみせるから!」
決意を宿したシュニー君の深紅の瞳が、まっすぐに私を見つめていた・・・ー。