第3話 シュニーがアイドル?

多くの笑顔をもたらした、楽しいライブが終わった後・・・ー。

会場を出た私は、その余韻から抜け出せずにいた。

○○「すごかったですね、さっきのライブ・・・・・・」

目をつぶれば、あの熱気に満ちた会場がまぶたの裏に浮かぶ。

誰もが自然と笑顔になるような歌とダンス、それに会場の空気・・・・・・

(本当に楽しかったな)

まだ胸の高鳴りが収まらない。

シュニー「・・・・・・そんなに楽しかった?」

○○「はい、とても!」

私はシュニー君に、素直な気持ちを答えると・・・・・・

シュニー「笑顔になってたのは、お前の方でしょ?」

シュニー君が、口元に薄く笑みを浮かべながら私を見つめる。

○○「はい。あんなパフォーマンスを見ていたら、こっちも笑顔になっちゃいますね」

シュニー「ふーん、そう・・・・・・」

そっけなくそう言うシュニー君だったものの、その表情は明るかった。

(よかった、ちゃんと楽しんでもらえたみたい)

(アイドルのことも、わかってもらえたかな)

そんなことを思っていると・・・ー。

??「君! そこの君!」

シュニー「・・・・・・僕?」

勢いよく駆け寄ってきた男の人に、シュニー君は首を傾げる。

??「そう、そこの君だよ! ああ、やっぱり僕の見込んだとおりだ! 君のその雪のように綺麗な顔!いいね、最高だね!」

シュニー「・・・・・・なんだ、お前?」

??「おっと、失礼。つい興奮しちゃったけど・・・・・・僕はこういう者だよ」

男の人はシュニー君に名刺を渡し、一つ咳払いする。

スカウト「僕はあそこにあるライブ会場を仕切っている者でね、見込みのある人のスカウトもしているんだ」

男の人が指差す先には、先ほどのライブ会場があった。

○○「スカウトって・・・・・・もしかして」

スカウト「その通り!遠くから見ても美しい顔立ちに、ピンときたんだ! 君、アイドルやってみない?」

シュニー「僕が、アイドル?」

スカウト「そう!近々ライブがあるんだけど、それに出てみないか?」

(シュニー君が・・・・・・!?)

突然のスカウトに、自分のことのように胸が熱くなる。

すると・・・・・・

シュニー「・・・・・・おい。お前はどう思うんだ?」

○○「えっ?そうですね。シュニー君なら・・・・・・人を楽しませられるアイドルになれますよ!」

シュニー「・・・・・・お前も楽しんでくれるんだ?」

○○「もちろんです!」

私の意見を参考にしてくれたのかはわからないけれど・・・・・・

シュニー「・・・・・・そうか。 まあ、やってみるのもいいかもね」

シュニー君の綺麗な顔に浮かんだのは、前向きな表情だった。

スカウト「本当かい!?」

○○「あ・・・・・・でも、ダンスもありますけど・・・・・・」

おずおずとシュニー君の様子を伺うと、彼は呆れたように息を吐いた。

シュニー「僕にできないことがあるわけないでしょ。それに、人々を笑顔にするのも王子の務めだからね。仕方ないからやってあげるよ、アイドルっていうの」

そう自信たっぷりに答えるシュニー君は、早くもアイドルのようにきらきらと輝いて見えた・・・ー。

 

 

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