テルさんと一緒に、花火の打ち上げ現場へとやってきた後…―。
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テル『……いや、今は謝るよりも先にやることがある』
打ち上げ責任者『テル監督……』
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ショーの開演時間が刻々と過ぎていく中、テルさんが辺りにいるスタッフさん達を集める。
テル「皆、よく聞いてくれ。兎にも角にも、まずは原因を調査して欲しい。 それがわからないことにはどうすることもできない。判明次第、俺が指示を出す」
打ち上げ責任者「はい!」
テル「それと、そこの君。プロジェクションマッピング班には、ひとまずショーを始めるよう伝えてくれ」
打ち上げスタッフ1「承知しました!」
(すごい……)
冷静に指示を出すテルさんによって現場の混乱は跡形もなく消え……
少しの後、大音量の音楽と共にショーが始まった。
○○「あの、私にも何かお手伝いできることはありませんか?」
指示出しの合間を見計らって、テルさんに声をかける。
テル「ありがとう、とても助かるよ。それじゃあ…―」
打ち上げスタッフ2「テル監督! 原因がわかりました!」
テル「何!?」
走ってきたスタッフさんの話によると、前日に発生した霧によって、用意していた花火が湿気てしまったらしく……
打ち上げスタッフ2「管理が甘く、本当に申し訳ありません」
テル「いや、大丈夫だ。報告ありがとう。 君はこのことを他のスタッフ達にも伝えておいてくれ。それと……○○。 これから倉庫に予備の花火を取りに行くんだけど、君も俺と一緒に行ってくれるかい?」
○○「はい、もちろんです」
私はテルさんと一緒に、花火のある倉庫へと向かう。
すると、その途中……
女性「なんて綺麗なのかしら……!」
男性「ああ、さすがは映画の国だ!」
観客達が、幻想的なショーに酔いしれている。
テル「どうやら花火がなくても盛り上がってはいるようだ……不幸中の幸いか」
○○「そうですね。だけど……」
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テル『この映像を目にした人々の、生の感情を映像に残そうと思って。 演技じゃない、リアルな感動。人の歓び……そして驚き……それらを俺は残したい』
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(心から感動してもらうためにも……テルさんが作り上げたものを、ちゃんとお客さんに伝えたい)
○○「……急ぎましょう。お客さん達には、もっともっと楽しんでもらいたいですから」
テル「君の言う通りだね。せめてクライマックスまでに間に合わせないと!」
歓声に包まれる広場を横目に、私達は倉庫へと急ぐのだった…―。